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交響曲の頂点に君臨する曲はやはりベートーヴェンの第九ではないか。
その思いを強くしている。
それくらい、この2週間はほぼ毎日第九を聴いていた。勿論、いろいろな指揮者による、いろいろなオーケストラの演奏である。
その中で、やはり一番心に響いたのは、ゲオルグ・ショルティの1989年録音のものである。
その年の最優秀クラシックアルバム録音賞を受賞した名演である。
だが、衝撃度でいったら1951年のバイロイト音楽祭でのフルトヴェングラー指揮によるものではないか。
第2次世界大戦で中止されていた音楽祭の復活を期して演奏されたこの曲の特に第4楽章のフィナーレに向かっての高揚感は凄まじいものがある。
長い戦争という重苦しい鎖から解き放たれた「歓喜の歌」。
クラシックの曲という概念を超えた時代の賛歌そのものである。逆にいえばこの演奏を超えるものはおそらくないだろうとさえ思う。
思えば、ベートヴェンにとって最後の交響曲のお披露目の際には、聴覚は完全に奪われており、最後に舞台にそう指揮者として登壇した時も、初めは大歓声が聞こえずに聴衆の姿を見て大成功を確信したという記録が残っている。
音楽史上永遠に不滅の作品である。