JUGEMテーマ:読書
書店をぶらぶらする楽しみのひとつとして、思いがけずに面白い本に巡り合えるということがある。
先日も、横浜の有隣堂でそういう経験をした。
その本とは「平城京のごみ図鑑」(奈良文化財研究所 監修)である。
特に、興味をそそられたのは「木簡」の果たしている役割についてである。
「木簡」というと当時の税であった「調」=全国の特産品を奈良まで運ぶ際の荷札というイメージが強いのであるが、実は個人情報をカード化したものであったり、さらには指の関節の位置を点で記して、IDカードの役割も果たしていたりというのであるから「ははあ」とうなってしまった。
また、何度も削って繰り返し使ったというリサイクル感覚であるとか、習字の練習に用いたとか、絵を描いたとかいろいろな使い方をしているところなど、ものを粗末に扱う現代人は学ぶべき点が多いと感じた。
そして、最終的には現代のトイレットペーパー代わりともいえる「チュウギ」にまで変身させているのであるから、まさに恐れ入るほどの徹底ぶりに感心した。
また有名な長屋王家の木簡からは犬や鶏を飼育するための部署が設けられており、それは子どもが担当しており、しっかり役目を果たせば米が支給されていたなど意外な事実を知ることができ、大満足の読書体験となった。