コルトレーン&セロニアス・モンク 宝物の音源

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    JUGEMテーマ:音楽

    昨日、紹介したミステリー小説「エコー・パーク」に逸話として登場していたコルトレーンとセロニアス・モンクのカーネギーホールでの共演盤を早速聴いている。

    音質が抜群に素晴らしく、歴史的な音源の名に恥じぬ傑作である。

    特に、7曲目の「sweet&lovely」のコルトレーンのサックスが素晴らしいの一言に尽きる。

    5分すぎくらいから快速テンポでスイングするのであるが、実に心地よいのである。

    モンクのまさにモンク節とも言える個性的なピアノタッチも魅力的である。

    50年間眠っていた音源であるが、まさに宝物のような輝きを放っている。

     


    エコー・パーク 最高のミステリー巨篇

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      JUGEMテーマ:読書

      こういう作品に出会えるから、読書はやめられない。そして、改めて読書はすべての娯楽の頂点であると確信するのである。

      それは、大のお気に入りの作家「マイクル・コナリー」の傑作シリーズ。刑事ハリー・ボッシュ物の一編「エコー・パーク」である。

      正直、シリーズの中でも最高傑作に位置付けられるのではないか。

      ジェットコースターのように二転三展する作品の筋立てだけに留まらぬ、登場人物の造形描写の見事さ。

      未解決事件を13年も追い続けるボッシュの刑事としての執念。

      遺族との人間的な交流。ボッシュを陥れようとする巨悪との対決。真相はどこに?

      一気に450ページ読んでしまった。

      「俺は何かを見落とした。カーネギーホールでコルトレーンとセロニアス・モンクが共演した時の録音をここんところずっと聴いている。その音源は、カーネギーの保管庫の中で、50年間誰にも気づかれず放置されていたんだ。要するに、その音源を発見した男は、保管庫の中の箱にあるものの正体がわかるには、二人のサウンドを知っていなければならなかったということだ。」

       

      こういう譬えをそっとストーリーの中に入れてくるところが実にうまい。

      絶妙のスパイスとなっている。

      また、私があらゆる小説という虚構の中の女性として一番好きなレイチェル・ウォリングが登場し、ボッシュに協力している点も魅力の一つである。レイチェルといえば、「スケアクロウ」の中での 一発の銃弾説の語りが今でも心に強く残っている。

      その説を語ったのは、ハリーボッシュなのであるが。

       

      主人公が変わるシリーズの中でも各々が登場し、関連しあっている点もコナリー作品の醍醐味である。

      残り200ページを噛み締めながら読みたい。

       


      圧倒的なリアリティ 西村賢太を貪り読む!

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        JUGEMテーマ:読書

        これだけ同一作家の作品を立て続けに読むというのもここ20年ではなかった。

        その作家とは西村賢太である。

        私小説の新たな旗手といわれている。

        作風は一言でいえばワンパターン。しかし、それでいてひきつけられるのは、会話の切実なまでのリアリティであろう。

        借り物、作り物ではない言葉がずしりとどてっぱらに響くのである。

        特に「秋恵」ものといわれる、同棲相手とのやりとりは秀逸である。

        今日も図書館で創作集のデビューとなる「どうで死に身の人踊り」と「暗渠の宿」を一気読みした。

        大好きな秋恵がそばにいなければ、捨て犬のごとく寂しさに打ちのめされるくせに、生来の短気が高じて、些細な言い争いから暴言・暴力の限りを尽くす北町貫太。

        そのくだりは、同じ男として「何してんだ!」と思いつつも、幾度となく繰り返す後悔に打ちのめされる姿には「バカだな」と思いながらもなぜか共感してしまうのである。どこか憎めない男なのである。

        女性の読者は嫌悪しか覚えないかもしれないが・・・

        暴力に及んだがために、実家に戻ってしまった秋恵を思い、ふと目についた部屋の片隅におかれた秋恵の下着を手にしながら、手淫に及んでしまう姿は滑稽でありながらも、狂おしいまでの切なさを感じてしまうのである。

        和解したあとでも、嘘のつけない貫太はその一切合切を吐露してしまい、結局は変態呼ばわりされ、不貞腐れてしまうのであるが・・・

        女性との関わりだけでなく、時代の流れそのものにうまく順応できないその生き方が彼の敬愛する大正期の作家、藤澤清造に傾倒する根源になっているわけだが、その傾倒ぶりの真摯さに男気が溢れ、その点も魅力となっている。

        図書館を出た後で、新作が無性に読みたくなり書店に馳せ参じた。

        「蠕動で渡れ 汚泥の川を」(集英社)を早速読んでいる。


        ミサ・ソレムニス

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          クラシック音楽界の巨人 ニコラス アーノンクールの最後の録音版を聴いている。ベートーヴェンのミサ・ソレムニスである。ベートーヴェン晩年の大傑作である。
          第4曲のサンクトゥスが格別である。
          特にプレルーディウム(前奏曲)からベネディクトスの流れは感動的である。
          ヴィブラートを抑えたガット弦の合奏にC菅クラリネットのほか低音域を奏でる木管楽器が重なり、そこへ高音の独奏ヴァイオリンが入る効果は絶妙である。
          派手な音使いを止め静謐な中からメッセージを発したのである。
          音楽の感動が確かにここにはある。

          真の政治家がいない国 日本

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            JUGEMテーマ:日記・一般

            JUGEMテーマ:ニュース

            イギリスは6年間に及ぶイラク戦争に関する調査を独立機関が行い、総括を行った。

            そして、当時の首相であったブレアの決断を誤りであったと決定づけた。

            一方、日本は外務省がこそこそと4ページにまとめただけでうやむやに終わらせた。

            国民の知る権利などたわごとである。

            この違いは何なのか?

            民主主義の成熟度の違いだという人がいる。

            今日は参議院選挙。18歳から選挙権が与えられた歴史的な選挙。

            しかし、一番の争点になるはずの、いやしなければならなかった憲法改正や安保法制の是非についての論議はおざなりにされ、経済という言葉が目くらましに使われていた。

            この違いだろう。本質的なことよりも目先の利益に追われる体質。

            多面的・多角的に思考・判断する真の政治家が見当たらない。

            情けない思いで投票所を後にした。


            私小説の中に戯作の爆発力を潜ませる

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              7月に入って初めての投稿である。

              先月も月に3回しか投稿できなかった。このブログも風前の灯状態である。

              決して読書していないわけではなく、むしろここ最近ではコンスタントに読書量は重ねているのであるが、なかなか自分の思いを発信するまでにはいたならいという心境である。

              いま、一人の作家にはまっている。

              西村賢太である。「苦役列車」で芥川賞をとり、その経歴や風貌から一躍注目を集めた作家である。

              作品の帯には、平成無頼派、破滅的私小説などという言葉が躍っている。

              私小説などというと、ここ数年は手にしてこなかったジャンルではある。

              振り返っても、志賀直哉の「城の崎にて」、太宰治の「人間失格」。村上龍の「限りなく透明に近いブルー」もその範疇であろうか。

              いずれにしても、あまり手にしない本の種類であることには相違なかった。

              ふと、図書館で手にした本にはまってしまった。 「棺に跨る」である。

              家庭の居室という実に狭い世界観の中での、北町貫太と初の同棲に至った秋恵なる女性との、小さな諍いに端を発する、貫太のとめどないDVと暴言の奔流とその後の慚愧の念にたえない後悔の心理的描写が毎度の設定である。

              こう文章にしてしまえば、実に陳腐な小説かと思う方も多いかもしれないが、不思議なことにその貫太と秋恵の物語は読者を惹きつけてやまない麻薬的な力をもっている。

              貫太の姿に己を実像を見てしまう自分がいる。

              愛しい女にしか虚勢を張れない不器用極まりない姿やいつまでも愛惜をひきずりながら後悔の念にさいなまれる姿にである。

              貫太は言い訳無用の最低な男ではあろうが、卑劣や狡猾とは無縁の生き方が下手くそな男である。

              愚かさがむき出しになっている、言い方を変えれば愛すべき男だ。

              立て続けに「苦役列車」「痴者の食卓」「廃疾かかえて」「寒灯」と読む耽ってしまった。

              個人的には「寒灯」「青痣」「腐泥の果実」が好きである。

              ある文芸評論家が西村賢太の作風についてこう語っている。

              「私小説の世界に、戯作の爆発力を潜ませる。」この一文に尽きる。


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