この名曲が凄すぎる クラシック劇的な旋律

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    JUGEMテーマ:読書
    百田尚樹の最新刊「この名曲が凄すぎる クラシック劇的な旋律」(PHP)を読んでいる。
    クラシックエッセイ第2弾である。
    百田尚樹のクラシック音楽についての造詣の深さに驚かされるとともに、作曲家のエピソードがとても興味深く描かれておりおもしろい。
    第1弾で紹介されていた曲は自分が好きな曲とあまりにも被っていたので驚いたが、今回は未聴の作品も比較的多くより一層興味深く読んでいる。
    その中でも早速タワーレコードで行って購入したのがチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」である。
    チャイコフスキー自身の「白鳥の歌」である。
    作品が完成して、わずか9日後にこの世を去ったことから「自殺交響曲」と呼ばれていたこともある。
    しかし、死因は自殺ではなくコレラによる病死であることが定説となっている。
    百田氏によればチャイコフスキーは人生において12回鬱病に罹ったということである。
    26年間で12回であるから、2年に一度の頻度で鬱病を繰り返していたことになる。
    「悲愴」も今までの交響曲の常識を覆す形式であり、第3楽章の勇ましい行進曲をのぞけば、全編を通して重苦しい空気感が漂っている。しかし、心に不思議と響くものがある。
    精神科医がこの「悲愴」を患者に聴かせた実験を行った時、内因性の鬱病患者の症状が悪化し、なかには自殺を企てようとした者もいたという記録が残っている。
    チャイコフスキーの内面の重苦しさが鬱病患者の心に何かの作用を及ぼしているということなのだろうか?
     

    ひたすら メンデルスゾーン

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      JUGEMテーマ:音楽
      ひたすらメンデルスゾーンである。
      朝、出勤するときに必ず音楽を聴きながら電車で過ごすのであるが、朝のテーマは序曲「静かな海と楽しい航海」である。
      これは、ゲーテが書いた2つの短い詩から着想を得たものである。
      実はこの詩からインスピレーションを与えられた作曲家は多く、中でもベートーヴェンのカンタータやシューベルトの歌曲「海の静けさ」は有名である。
      クルト・アズマ指揮 ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏が秀逸である。
      特に終盤のティンパニの連打とトランペットの音の重なりは鳥肌物であり、一日のスタートを後押ししてくれる快活なエネルギーに満ちており音楽の愉悦に浸ることができる。
      今は、ドナホーニによる交響曲全集を聴いている。
      メンデルスゾーン。メロディラインの美しさ、親しみやすさはモーツァルトにも匹敵すると個人的には思う。
      わが国では過小評価されている作曲家ではないか。

      陽気なギャングは三つ数えろ

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        スランプの2月が続いている。
        ブログもアップしたいのだが、気持ちが乗ってこないというのが正直な気持ちである。

        伊坂幸太郎の昨年末に刊行された「陽気なギャングは三つ数えろ」(祥伝社)を一気に読んだ。
        陽気なギャングシリーズ第3弾である。
        あとがきでも伊坂幸太郎自身が語っている通り、このシリーズは「ひたすら楽しく読めることだけを考えた」というだけあって、徹底的にエンターテインメントに徹しているところが最大の魅力である。
        お伽噺と同じという表現もいい得て妙である。

        それにしてもやはり伊坂幸太郎。オチの付け方が見事であり、読後感は格別である。
        ちなみに登場人物の中で個人的に一番惹かれるのは「成瀬」である。
        実にCOOL。

        題名のない音楽会

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          JUGEMテーマ:日記・一般
          普段からあまりテレビは見ない生活を送っているのだが、今日は見た。
          テレビ朝日 【題名のない音楽会】である。辻井伸行によるベートーヴェン演奏会ということで心が動かされた。
          しかも演奏する曲がピアノ協奏曲第5番「皇帝」ということもあり楽しみであった。
          司会の五嶋龍によるベートーヴェンのエピソードも興味深かった。
          生涯にわたり80回以上引っ越しを重ねたこと、常にその部屋は乱雑であったことなど。
          ベートーヴェンは古典的様式や因習を打破してきた改革者である。
          五嶋龍はその行動の背景に時代に対する「怒り」があったのではないかと述べていたが、私もそう思う。
          難聴という耳の病気だけでなく、それに伴う今では考えられない治療薬の弊害による慢性的な頭痛や腹痛と闘いながら、しかも古い体質の音楽の世界の破壊を行うだけのエネルギーは「怒り」であったのだろう。
          「皇帝」にしてもカデンツァを排するだけでなく、いろいろな仕掛けやサプライズを配している。
          しかし、難聴のためにこの曲を自身の手で演奏することはできなかった。
          それにしても辻井伸行の演奏は見事であった。
          やはり演奏している手そのものを見ると、あらためてそのすごさが伝わってきた。
          決して姿勢が良いとは言えないが、魂が鍵盤にそのまま乗り移ったかのような演奏は胸に迫るものがある。
          バックの東京フィルハーモニー管弦楽団の演奏も流石である。
          外は春の嵐であったが、心はとても晴れやかな気分に浸ることができた。

          ラスト・レコーディング

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            JUGEMテーマ:音楽
            ​クラシック音楽界の巨匠であり、常に革新的なスコア解釈で新鮮な音像を提供してくれているニコラス・アーノンクールのラストレコーディングが届いた。ベートーヴェンの交響曲4番・5番である。まさに堪能している。
            実にいい。その一言である。特に5番の4楽章は衝撃的ですらある。
            こんなにピッコロの音が鮮明に耳に響く「運命」がかつてあったであろうか。
            ヤルヴェの「運命」を初めて耳にしたときはその推進力に唖然となり革新的であると評されたが、どこか人工的なところが耳に障るというところも正直あった。
            ところが、アーノンクールのこの最新盤にはそういったあざとさは感じない。
            見事である。
            ベートーヴェンの新たな愛聴盤がまた増えた。
            渾身のラスト・レコーディングである。

            心の中にピアノの旋律が響いてくる物語 羊と鋼の森

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              2016年の本屋大賞にもノミネートされている一冊「羊と鋼の森」(文藝春秋)を一気に読んだ。
              素晴らしい本である。
              個人的には「花火」よりも「君の膵臓が食べたい」よりもこの本に本屋大賞を受賞してほしいと思っている。
              ピアノの調律師の成長の物語と一言では括るのは勿体ない本である。
              語り口は静謐であり、描かれている舞台は地味ですらある。
              しかし、内包する世界観はどこまでも広く、奥行きは深い。
              ふと、「舟を編む」の世界観と共通するものを読みながら感じていた。
              今回、初めて電子書籍でこの本を読んだのだが、ブックマークをつける箇所が自然に増えてしまった。
              そのひとつを紹介する。
              主人公の外村青年が尊敬する先輩調律師・柳の言葉である。
              「才能っていうのはさ、ものすごく好きだっていう気持ちなんじゃないか。どんなことがあっても、そこから離れられない執念とか、闘志とか、そういうものと似てる何か、俺はそう思うことにしてるよ」
              他にも、登場している人物の描き方が多弁ではないのだが、きっちり性格づけができていて秀逸なのである。
              今日も何度もブックマークをつけた場所を読み返している。
              ピアノが好きな人もそうでない人にもきっとピアノの旋律が心に響いてくる物語である。
              私の心の中ではサン=サーンスのピアノ協奏曲第4番 2楽章が鳴り響いていた。

              2016年 POPS最良の現在進行形 チャーリー・プース

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                JUGEMテーマ:音楽
                昨年、ふとFMで流れていたナンバーに心奪われるも、アーチスト名や曲名が分からず、月日は流れた・・・
                そして、今日タワレコでその曲に再び巡り合った。
                ひたすらリピートして聴いている。
                チャーリー・プース「MARVIN GAY」である。
                メーガン・トレイナーをフューチャーした最高にいかしたナンバー。
                どこか「スタンド・バイ・ミー」を思い出させるノスタルジックなソウルナンバー。
                というのもメーガンとの出会いが、それこそスタンド・バイ・ミーを下敷きにしたご機嫌なナンバー「ビューティフル・ガールズ」で全米チャートを賑わせたショーン・キングストンの家でのパーティーというのだから不思議な因縁を感じさせてくれる。

                「MARVIN GAY」だけじゃない。この1STアルバム「ナイン・トラック・マインド」に収められた楽曲の質の高さには驚かされる。
                特にお気に入りは「ONE CALL AWAY」「AS YOU  ARE」「SOME TYPE OF LOVE」。
                2016年ポップスの最良の現在進行形がここにある。

                冷たく乾いた2月への嫌悪

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                  JUGEMテーマ:日記・一般
                  1年の中で今の時期が一番嫌いである。
                  一言でいえば、冷たく、乾いた2月への嫌悪である。
                  55年間でたった一度のインフルエンザを2月に経験した。自分に名前を授けてくれた祖父を失った月でもある。
                  現在も体調を崩している・・・
                  バイオリズムという言葉では片づけられないほどの、閉塞感がどっと押し寄せる月である。
                  そんな時は、静かに書に親しみ、クラシック音楽に耳を傾けるに限る。
                  今日やっと、辺見庸と高橋哲哉の対談本「流砂のなかで」を読み終えた。
                  決して厚い本ではないのだが、意外にも時間がかかってしまった。読み進めるのに心に重くずしりと響いたからだ。
                  戦争体験を一般論で片づけてはいけない。徹底して個別のものであるというとらえ。ひとり一人に刻まれた傷は簡単に一般化された言葉で回収されるべきものではない。

                  深くうなずいてしまった。

                  そして、安保法制に対抗するSEALDsの運動に対しても警官や機動隊との衝突を避ける状況から「国家権力とのなれ合い」と批判している。予期せざる緊張や衝突から生まれる新たな思考や知性をうながすものとは違うものとみなしているところが辺見庸らしい。
                  安倍政権の議会制民主主義を悪用した暴力的な政治運営にいったいどう対抗していったらいいのかを一人一人が自らに問うことが求めれているのだと強く感じた。それは決して安易なシュプレヒコールに帰結するものではないだろう。

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