リヒテルのピアノが放つ圧倒的な力。

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    JUGEMテーマ:音楽
    まさに圧巻。言葉にならない感動。音楽の力そのもの。
    世評には轟いてはいたが、自分は体験していなかったその真実。
    それがリヒテルのラフマニエフのピアノ協奏曲2番である。
    聴き終えたあと、しばし呆然としていていた。
    古今東西。素晴らしいピアノアーティストはあまた存在している。
    しかし、ラフマニエフのピアノ協奏曲2番に関していえば、リヒテルで決まりではないのか。そう思う。
    聴いていないじゃないかと反論されたらそれまでだが、聴かずとも分かる。
    逆にこれに相当する感動がそこここに転がっていること自体がおかしなことになってしまう。
    何度も記しているが、自分がクラシック音楽に傾倒する契機となった曲はベートーヴェンのピアノ協奏曲1番であった。
    そのピアニストがリヒテルであった。
    冷戦時代において西側において「幻のピアニスト」として呼ばれていたリヒテルが西側であるアメリカに登場するのが1960年であった。その時に弾いたのがベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番であった。
    リヒテルがその形式・構成が最高のバランスのとれている曲であると賞賛し、数多の協奏曲の中では大好きな曲であると述べていることにも私自身とても共感したのである。

    それにしてもこれだけ格調高く、しかも緩急の見事なまでの配置、曲全体の雄大さには恐れ入る。
    ワルシャワ国立フィルハーモニー交響楽団の演奏も見事である。指揮のドライブ感がひしひしと伝わってくる世界遺産的な名演である。

    全米1位に輝いたクラシックアルバム

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      JUGEMテーマ:音楽
      アメリカのポップス史上、唯一ビルボードのアルバムチャートの第1位にクラシックのアルバムが輝いたことがある。
      それが昨日のブログでも簡単に触れたヴァン・クライバーンのピアノアルバムである。
      曲はチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番であった。
      300万枚を超える破格の売り上げを示した。
      なぜ彼の弾くこのアルバムが飛ぶように売れたのか?それはソ連との冷戦時代、ソ連初の国際音楽コンクールである第一回チャイコフスキー記念国際コンクールにおいて、並み居るソ連の代表を押しのけて、優勝を勝ち取ったからである。
      一躍、時の人となりアメリカの英雄として迎えられる形で凱旋帰国を果たした。アイゼンハワー大統領が空港で出迎えたのである。
      その後、華やかな活躍をしていたが突然表舞台から姿を消すことになる。1978年のことである。
      43歳という異例の若さでの引退であった。
      自分の弾きたい音楽ではなく栄冠を勝ち得た曲とラフマニノフの超絶技巧を要する曲だけを求められたストレスと過剰なる期待が彼の繊細なピアノを押しつぶしたのである。
      引きこもりのような生活を送っていたのであるが、1987年のゴルバチョフ大統領を招いての晩餐会で演奏することが契機となり復活を果たしていくことにつながる。

      そして、その彼の財団が設けたヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで日本人初の優勝を勝ち得たのが辻井伸行である。
      佐渡裕指揮による辻井伸行演奏のチャイコフスキーのピアノ協奏曲1番もすばらしい演奏であり、私の大のお気に入りである。

      チャイコフスキーをめぐる不思議な巡りあわせを感じずにはおられない。

      ラフマニノフ ピアノ協奏曲2番

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        JUGEMテーマ:音楽
        今日は一日、のんびりと家で過ごした。
        ひたすらラフマニノフのピアノ協奏曲を聴いていた。先日紹介したチャイコフスキーのピアノ協奏曲のカップリングである。
        ラフマニノフのピアノ協奏曲といえば、2番が圧倒的に有名である。
        映画音楽「逢引き」で全編使われたことで認知が一気に高まった。しかし、自分は今まで聴いたことがなかった。
        それはチャイコフスキーを敬遠していたのと同様に情緒的過ぎるという先入観があったためである。
        今回、じっくりと耳を傾けてみて、その素晴らしさに気づかされた。
        ただセンチメンタリズムが横溢しているだけではない。
        時に激しく、時にたゆとうごとき繊細に奏でられるその音楽は、ラフマニノフ存命中には「前世紀の遺物」という酷評を受けたのだが、今では20世紀を代表する音楽として定着している。
        個人的には第1楽章よりも第3楽章が好きである。ピアノのヴィルトオーソ的な至芸と音色を堪能できる。
        明暗のくっきりとした輪郭のある流れが心地よい。今日、聴いていたのはヴァン・クライバーンのピアノ、シカゴ交響楽団の演奏である。ヴァン・クライバーンといえばアメリカが生んだ伝説のピアニストである。そのことについてはまた書きたい。

        本多勝一の戦争論

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          JUGEMテーマ:読書
          本多勝一「貧困なる精神第26集 戦争か侵略か」(金曜日)、本多勝一の戦争論『侵略』をとらえる目(新日本出版社)を立て続けに読んだ。今までにも折に触れて著者が語ってきた主張の繰り返しであり、目新しいことはないのであるが、きな臭さが充満している今だからこそ説得力があるように感じている。
          アメリカの歴史は侵略戦争の歴史そのものである。初代大統領のワシントンが、先住民族を100年間虐殺しながら西進し、ハワイ、グァム、フィリピンと侵略を続け、第二次世界大戦では日本占領後の報道管制下で朝鮮戦争を経て、泥沼のベトナム戦争、でっちあげのイラク戦争に至るまで、常に自国の利害のために侵略を続けている国である。
          その中でも、この本のなかで今回改めて衝撃的だった事実がフィリピンでのアメリカ軍がとった虐殺に関してである。
          1898年、アメリカとスペインの間で戦争が起き、スペインは敗退する。スペイン治世下にあったフィリピンがこの機に独立運動の気運が高まるのは当然のことである。しかし、アメリカが介入した。そして、対アメリカに向けてのゲリラ抗戦が激化する。
          1901年レイテ湾の北のサマル島でアメリカ第9歩兵師団C中隊がゲリラに壊滅させられてしまった。そこで准将であったスミスは、一時的に彼の指揮下にあったヲ―ラー少佐にある命令を下した。
          「捕虜などいらない。全部殺し、焼き尽くせ。殺せば殺すほど、焼けば焼くほど私は満足だ。」そこでヲ―ラーはこう質問する。
          「何歳が限度ですか?」
          それに対するスミス准将の答えは「10歳だ」
          。まさに、C中隊のための復讐であり住民への無差別攻撃であった。
          これと似たようなことがイラク戦争でも起きた。
          ファルジージャで4人の元米軍兵士(警備会社員)が殺された。これに対してのアメリカの報復行動は女性と子供を含む700人のイラク人の殺害である。
          ことの本質は100年以上前と全く変わっていないことを本多勝一は指摘している。

          こういうアメリカの正体を暴く事実が隠されている。そして、安保法制は着々と進み、アメリカと共に戦争に参加する国になる準備が進行しているのである。加速度的に・・・
          その一方で一アイドルグループの解散騒動やゲスなバカタレントの不倫ばかりが垂れ流しされている。日本のマスコミは本当に地に堕ちているのではないか。強くそう思う。

          LINEデビュー!

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            JUGEMテーマ:日記・一般
            遅ればせながらのLINE デビューとなった。
            スマホもなく、自分の持っているガラケーにはQRコードリーダーがないため、LINEをやることははなはだ面倒くさいと思っていたのだが、一念発起し、iPAD miniでできる設定にトライした。ポイントはiPAD用のLINEアプリではなく、iPHONE用のアプリをDRすることである。
            いやはや、LINEにはまる人の気持ちがよく分かった。
            とにかく簡単、便利である。
            なんだろう、相手とのコミュニケーションを図るうえで、今までのメール送信で感じていた閉鎖感がないということが一番のよさではないか。つまり開放されている感じがするのである。世の中では既読スルーストレスがあると聞くが、そもそも読んでいるのかいないのか分からないというメールがかかえるストレスに比べれば、断然いい。
            教え子たちから、たくさんのウェルカムメールが来たことも嬉しい。
            グループにも招待してくれた。まるで同窓会である。
            ブログを始めた時に感じた同じワクワク感を、久しぶりに味わった。
            小さなことであれ、新たなことにトライすることは、人生を豊かにしてくれる。
            そう信じている。
             

            不滅 チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第一番」

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              JUGEMテーマ:音楽
              ​クラシック音楽は大好きであるが、今までなぜか敬遠してきた作曲家がいる。
              チャイコフスキーである。
              日本ではもしかしたら、とっつきやすさという点においてはベートーベン以上に人気の高い作曲家かもしれない。
              敬遠してきた理由はクラシックに精通している知人からチャイコフスキーは「メロメロ」すぎるという話を聞いていたことも影響しているかもしれない。感傷や情緒に偏りすぎているといいたかったのだろう。
              確かに今でもテレビCMのバックに多く使われる頻度も高く、その旋律は美しいが、やや装飾に傾いているというとらえをしていたのかもしれない。
              しかし、今日、じっくりと「ピアノ協奏曲第一番」を聴いてみて、その素晴らしさに気が付いた。
              ピアノ協奏曲の中で一番のお気に入りは、このブログでも以前記したがベートーベンの不滅の5曲である。とりわけ1番には特別な思いがある。
              だが、チャイコフスキーのこの1番もそれに匹敵する名曲である。
              第一楽章の序奏部分があまりにも有名であるが、私は3楽章が一番好きである。めりはりの効いた鋭いリズムにのって繰り広げられるピアノとオーケストラとの掛け合いは見事の一言に尽きる。
              今日聴いた盤は。日本が誇る佐渡裕指揮、ピアノは辻井伸行、支えるバックはイギリスの名門BBCフィル・ハーモニック。
              感動の作品である。
              しかし、発表当時、この19世紀を代表するピアノ協奏曲はロシア最高のピアニストであったルビンシテインに「全く価値のない、演奏不能の作品」とこきおろされた。後にはその評価は間違えていたと訂正するのであるが・・・
              今日は繰り返し返し繰り返し聴いている。
              至福のひとときである。

              村上龍が紡ぐ「破壊」の物語

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                JUGEMテーマ:読書
                物心ついてから読んだ本を作家別に分けてみると、おそらく一番多く読んだ作家は松本清張か村上龍になると思う。
                清張からは推理小説が謎解きの物語ではなく、人間の業を炙り出す「人間小説」であることを学んだ。
                ここ数年貪るように読んでいる村上龍からは、いろいろなジャンルはあるものの、「破壊」を主題として打ち出している小説のその刺激、いいかえれば物語そのものの爆発的なエネルギーに酔わされてきた。
                その村上龍のストーリーテラーとしての魅力が開花したといわれているのが「コインロッカー・ベイビーズ」である。
                いまから36年前の作品とは思えない。
                又吉直樹も激賞している永遠の名作である。
                いま、久しぶりに再読している。
                そのスリリングな展開はいま読んでも圧倒的である。「破壊による突破」と自選集にはタイトルがつけられているが、東京を破壊しつくすという登場人物であるキクのイメージは、「昭和歌謡大全集」の最終章の殺戮の果ての調布市全体を殲滅する爆弾投下につながっている。解説で評論家も書いているが、村上龍が「破壊」を軸にして物語を紡いでいく作家であることがよくわかる。しかもその物語は抜群におもしろい。
                村上龍が描く「破壊」という暴力の中に、息苦しいほどの閉塞感に包まれた世界を一点突破していこうとする苛立ちや焦燥感を感じ取るのだ。それが臨界点に達するまでの緊密な物語の運びに加え、臨界点を超えた時のあまりにも拍子抜けするほどのある種独特の潔さというか簡潔さの中にカタルシスさえ覚えてしまうのである。
                こういう作家は他にはいない。だから惹きつけられるのである。
                ストレスがかかればかかるほど、本能的に村上龍の「破壊」の物語を激しく希求してしまう自分がいる。
                先日紹介した「愛と幻想のファシズム」にしても、物語そのものに読み手をねじ伏せる力がある。
                ねじ伏せられても構わないと思わせるような、まさに神経が麻痺するような喜びがそこには確かに存在する。
                それをある人は「物語の快楽」とよぶ。

                今さらながら 「だいじょうぶ マイフレンド」

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                  JUGEMテーマ:読書
                  本を紹介するブロガーは数多く存在して、その人たちに比べると自分の読書のペースなど笑い種なのだろうが、それでもこつこつ自分のペースで読書を続けている。
                  今年に入って4冊読み終えた。例年よりも早いペースである。
                  その中でのお気に入りは村上龍の「だいじょうぶ マイフレンド」(集英社)である。
                  この本の初出が1983年であるから、当時は大学生であった。
                  本だけでなく、村上龍自身が監督、脚本を担当し、映画化にもなったので当時相当メディアに取り上げられていた。
                  加藤和彦作曲の同名主題歌も馴染み深い曲調で小ヒットした記憶がある。
                  しかし、映画は大惨敗。興業的にも内容的にも酷いというのが定説である。
                  その当時は正直、村上龍にはほとんど興味がなく当然この小説も未読であった。
                  32年たって初めて読んだ。
                  だが、この本の原型は私の大好きな村上龍の短編集「悲しき熱帯」に収められている「ハワイアン・ラプソディー」であることが読み始めてすぐに分かったので、当然の帰結としてこの小説も好きである。
                  老いたスーパーマン「ゴンジー・トロイメライ」と彼を助けるべくミミミ、ハチ、モニカという日本のお気楽な若者VS悪の組織 ドアーズの物語である。
                  くだらないといえば実にくだらないのであるが、そのくだらなさの中に切なさも微妙に加味されて不思議な味を出している。
                  たとえば、ゴンジーの並外れた身体的な力に潜む弾丸より早いザーメンゆえに、性行為中に女性を殺してしまったことを悔いながら語るシーンなどである。

                  そして、最後のシーンがやはり一番のお気に入りだ。

                  オレンジ色に発光したものが、沸騰する海面から飛び出た。水飛沫は細かな水滴となってオレンジ色の光を反射し揺れるジャングルの木々の広い葉を濡らした。発光体は空気の渦をつくりながら恐ろしい速さで一直線に上昇し、雲を突き破っていく。

                   

                  至高の音楽 エロイカに込められたべートーヴェンの心の咆哮

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                    JUGEMテーマ:読書
                    書店でふと百田尚樹の「至高の音楽 クラシック永遠の名曲の愉しみ方」(PHP新書)が目に止まった。
                    百田尚樹の小説は割合好きで読んでいたのであるが、東京都知事選や沖縄基地問題をめぐる傲岸不遜な発言に嫌気がさして、小説は読むまいと決めた。
                    この本もパラパラとめくっておしまいにしようと思っていたのであるが、まず彼が選曲した25曲が自分の好きな曲と大方かぶっていたこともあると同時に、冒頭で紹介されている、つまり百田尚樹をクラシックの世界にいざなったのがルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの交響曲「エロイカ」であり、文学が音楽にかなわないと思わされた瞬間が第五交響曲「運命」の3楽章から4楽章にかけてであるなど、自分の思いと相通ずる部分が多いということもあり思わず買ってしまったのである。
                    普段、強気の発言で知られる百田尚樹がことクラシック音楽の前では謙虚なのである。
                    しかし、その通りである。謙虚にならざるを得ないくらいここで紹介されている音楽には力がある。
                    3分間のポップミュージックは簡単に覚えられるが、クラシックの峰は一度聞いたくらいではその全貌を表しはしない。
                    私もその考えには賛成である。
                    何度も聴いているうちに、心の中に言い知れぬ感動の波が押し寄せてくるのだ。
                    私が天からの啓示のように圧倒されたのは、べートーヴェンのピアノ協奏曲第1番である。(実質は2番目に作曲された)
                    ロシアの巨人 リヒテルの演奏であった。
                    そして、ゼルキンのピアノ協奏曲3番にひれ伏し、グールドのピアノ協奏曲5番「皇帝」に涙したのである。
                    交響曲では「エロイカ」が群を抜いている。
                    個人的に交響曲のジャンルの中で一番CDをもっているのが「エロイカ」である。
                    百田尚樹の100枚には全然及ばないが、いろいろな指揮者の「エロイカ」を愉しむことはこの上ない喜びである。
                    ベートーヴェンは日本でも有名な第九を作曲する直前に「今まで作曲した中で一番すぐれている交響曲は?」という質問に対して「エロイカである!」と答えた話は有名であるが、交響曲というものの歴史を一変させた恐るべき曲である。
                    「エロイカ」を聴いて、何も感じない人がいるとすれば、百田尚樹も語っているが、クラシック云々ではなく音楽を聴いて感動することのできない人ではないだろうか。
                    以前にも記したが、聴覚を失って彼は「傑作の森」と呼ばれる作品を生み出してきた。それは時として激しく、怒りに満ちている。
                    苦悩から歓喜への爆発という言われたか方をするが、すさまじいばかりのエネルギーの表出である。
                    百田尚樹は小説を書くときに、創作意欲を喚起し、渾身の力を奮い立たせるときには「エロイカ」をかけっぱなしにするという。
                    私も似たようなところがある。弱気になったときは「エロイカ」か「運命」を聴くことにしている。
                    ベートーヴェンの魂に触れる気がするからだ。絶望を乗り越えようとした男の咆哮が音符に込められている。そう確信する。

                    愛と幻想のファシズム

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                      今年の読み初めは村上龍「愛と幻想のファシズム」となった。
                      村上龍自選小説集(集英社)で読んだのだが、講談社の文庫本でいうと上下1000ページ超えの超大作である。
                      巷間では政治経済小説といわれるくらい、特に経済に関する専門用語がたくさんでてくる。
                      文庫のあとがきで村上龍自身が語っているように、この本を書きあげるまでに数百冊の経済書を読んだという言葉がそれを裏付けている。
                      難しい専門用語が出てくるものの、超一級の刺激的なエンターテインメント小説であることに変わりなない。
                      そこが村上龍の才能である。
                      一見荒唐無稽に見えながらも、現代社会の抱える病巣を鋭くえぐって見せてくれる。

                      曖昧なまま、アメリカに従属する形でしか憲法改正を唱えられない安倍首相のほうがこの本の主人公である「鈴原冬二」以上に姑息なファシストであるような気がする。だから、狩猟社会への回帰。「南」の適正な人口への淘汰と「北」の資源消費の縮小。米ソの2大大国に世界経済を牛耳られることへの抵抗。これらのトウジの明解な文言は確かに危険な香りを漂わせているが、嘘ではなく、曖昧ではないのでストレートに心に伝わる。

                      村上龍はこの本を執筆中にある種の苛立ち=閉塞感を抱えながら書き続けたと語っている。30年前のことだ。
                      しかしこの30年でその閉塞感は解消されたのだろうか?
                      むしろ、日本を覆う空気は一層きな臭くなり、歴史修正改竄主義者によって歴史の記憶は葬られ、決して我が国にとっては好ましいとはいえない危険なムードが醸し出されている。自由民主党だけが独り勝ちをし、何の対抗政策をも打ち出せない無能な野党。
                      人々の政治不信とあきらめムードが日本社会をうすぼんやりと覆っている。

                      そんな中、心のどこかで「鈴原冬二」を求めている自分が存在する。
                      「愛と幻想のファシズム」。今読むべき小説である。



                       

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