レイモンド・カーヴァーについて語りたい。
いま、むさぼるように村上春樹が翻訳した短編集を読んでいるのだが、その味わいは別格である。
きっと若いころに出会っていたら今抱いているような感覚は持てなかったであろう。
正直言って万人受けする作家ではない。
登場人物も概して、結婚生活が破綻し、またはしかけていて窮地に立たされた中年男性というのがほとんどである。
加えて、アルコール中毒であったり、解雇されたりと、いってみれば負け組に属する者たちのほろ苦い物語である。
きっと、その背景にはカーバー自身の実像がかなりの割合で投影されているのであろう。
ハッピーエンドは皆無である。
しかし、何ゆえにこれほどまでに読者を惹きつけてやまないのか?
それは、好みもあるだろうが贅肉を削ぎ落した簡潔な文体に尽きる。飾りがないので読みやすいし、登場人物の緊張感のあるやり取りの中に放り込まれる。時には息苦しさを感じさせるほどの濃密な文章世界である。
読みやすさとは裏腹に内容はとても奥深い。シュールであるものさえある。
また一方で、村上春樹は「ばらけ」という表現を用いているが、見事に構築された物語のなかに一見関係のないような話を盛り込んで、伏線的に読者の心をとらえるのである。そのとらえかたが強烈なのである。そのエピソードだけで小説が成り立ってしまうかのごとくである。特に最後の短編集「象」ではそのカーヴァー特有の技が冴えわたっている。
そこに虜になってしまい、逃れられないのである。
「メヌード」「ブラックバード・パイ」。凄いとしか形容できない小説である。
家庭が崩壊していく寸前を簡潔に描き切っていくそのすごみはすさまじいの一言に尽きる。
こんな小説は今まで読んだことがなかった。
アメリカ現代文学を代表する作家であることに間違いはない。
多くの人に読んでほしい。
いま、むさぼるように村上春樹が翻訳した短編集を読んでいるのだが、その味わいは別格である。
きっと若いころに出会っていたら今抱いているような感覚は持てなかったであろう。
正直言って万人受けする作家ではない。
登場人物も概して、結婚生活が破綻し、またはしかけていて窮地に立たされた中年男性というのがほとんどである。
加えて、アルコール中毒であったり、解雇されたりと、いってみれば負け組に属する者たちのほろ苦い物語である。
きっと、その背景にはカーバー自身の実像がかなりの割合で投影されているのであろう。
ハッピーエンドは皆無である。
しかし、何ゆえにこれほどまでに読者を惹きつけてやまないのか?
それは、好みもあるだろうが贅肉を削ぎ落した簡潔な文体に尽きる。飾りがないので読みやすいし、登場人物の緊張感のあるやり取りの中に放り込まれる。時には息苦しさを感じさせるほどの濃密な文章世界である。
読みやすさとは裏腹に内容はとても奥深い。シュールであるものさえある。
また一方で、村上春樹は「ばらけ」という表現を用いているが、見事に構築された物語のなかに一見関係のないような話を盛り込んで、伏線的に読者の心をとらえるのである。そのとらえかたが強烈なのである。そのエピソードだけで小説が成り立ってしまうかのごとくである。特に最後の短編集「象」ではそのカーヴァー特有の技が冴えわたっている。
そこに虜になってしまい、逃れられないのである。
「メヌード」「ブラックバード・パイ」。凄いとしか形容できない小説である。
家庭が崩壊していく寸前を簡潔に描き切っていくそのすごみはすさまじいの一言に尽きる。
こんな小説は今まで読んだことがなかった。
アメリカ現代文学を代表する作家であることに間違いはない。
多くの人に読んでほしい。