JUGEMテーマ:読書
又吉直樹の「火花」を読み終えた。「笑い」の本質とは何かということをひたすらに問い続けている小説であった。
私は十分に楽しむことができた。
徳永と神谷のやりとりには終始引き込まれた。
また、スパークスの最後の漫才の描写は秀逸であり、あたかもお笑いのライブを間近で見ているかのような錯覚を覚えた。と同時に
感動もした。中村文則が語っている通り、優れた青春小説であると思った。
また、「真樹さん」を筆頭に登場人物の造形描写にも好感がもてた。
ただ、唯一納得いかなかったのは最後の場面である。
三島賞の選考会において川上弘美が語った「最後の豊胸はやりすぎではないのか」という選評と同意見である。
「文学界」に掲載されている芥川賞受賞記念の対談では川上弘美は「あの過剰さは必然であった。」と意見を変えてはいるが・・・
私はやはり違和感を覚えた。神谷の変容に唐突なものを感じた。
再読を重ねていくうちに自分の考え方が変わるのかどうか。楽しみでもある。
いずれにしても読み終えた後で、いろいろな感想が出る小説はおもしろい内容と質をもっているということである。
読んでみて古館伊知郎や和田アキ子の感想がいかに的外れのものであるかということが分かった。
何を気取っているのだろうか?
十分に優れた作品である。それは確かな事実である。