JUGEMテーマ:読書
一押しの作家 中村文則の「遮光」「迷宮」を一気に読んだ。「遮光」はデビューして2作目の作品である。
恋人が死んだ事実を受け入れられずに、死体安置室で縫合されていた糸を焼き切って小指を持ち歩く主人公。
周囲には、死んでいることをひた隠しにし、虚言を繰り返す。
そして、自分でも何が真実なのかが分からなくなる。
狂気に突き進むことで、恋人と一体になれると信じ込む主人公が最後にとった暴力の衝動。
すさまじい暴力のシーンには思わず息を止めてしまっていた。
ふと、重松清の「疾走」での暴力シーンを思い出した。
純粋な愛は狂気と等しく、唯一の真実である。
そんなことを感じた。
今でも主人公の姿が心に強く覆いかぶさっている。
比類なき強烈な恋愛小説である。