毎日新聞WEB版の今日のニュースから
東京電力福島第1原発事故で計画的避難区域に指定され、全村避難を強いられている福島県飯舘村の菅野典雄村長が毎日新聞の取材に「ストレスで避難民にいがみ合いが生じている」と述べ、村民の「心の荒廃」に懸念を示した。別々に避難している家族も多く、村のアンケートでは「自分や家族の健康状態が悪くなった」との回答が60%、「イライラすることが増えた」は39.9%。放射能汚染で先を見通せない避難生活が大きく影響しているとみられ、原発震災の深刻さが浮かんだ。
飯舘村は昨年4月22日に計画的避難区域となり住民の大半は県内外で避難生活を送る。菅野村長は「心の痛み、家庭の崩壊が進んでいる。戻りたい人と戻れない人、家族同士、世代間の葛藤がある」と指摘した。
特に、仮設住宅で暮らす約3割の村民と、県の借り上げ住宅などに点在する村民との対立が目立ち「なんで仮設ばかりに支援物資が行き、借り上げに来ないのか、と言い合うようになり、『差別だ』との声まで出ている」という。村民のうち2708人を対象に行い1743人から回答を得て村が先月まとめたアンケートでも「仮設住宅以外にも公平な支援を」との訴えが80人に上った。
このアンケートによると、震災前と同様に「全ての子供と一緒に暮らしている」のは55.7%にとどまり、「避難に伴い全ての子供を別の場所に避難させた」は21.3%、「一部の子供を別に避難させた」は15.4%。3分の1以上は親子が別々に暮らし、祖父母も含めて同居していた家族が別々に暮らす割合は50.1%に上る。
また、収入は5割かそれ以上減った人が34.7%。体調の変化では「睡眠があまりとれていない」が36.8%、「たばこやアルコールを飲む回数や量が増えた」が17.9%。
自由回答では「急に飯舘村のことを思うと悲しくて涙がとまらなくなり、途方に暮れ不安になる。子供が突然涙を流し帰りたいと言う」「県外に避難したと非難され、友人との仲が悪くなった」「生きていることがつらくなった」「やる気が起きない。食欲がない」などの悩みが多数寄せられた。
菅野村長は「天災ではなく人災、何も悪いことをしていないのに無理やり避難させられたという思いが村民にはある」と指摘。「以前は冷害で苦しんでもお互い様で、助け合う意識があった。天災なら苦しい時期があってもゼロからのスタートができる。だが、放射能汚染相手だと3年先、5年先でもスタートを切るのは簡単ではない」と、気持ちの整理をつけられない村民の思いを代弁する。
「これが放射能(という目に見えない災害)の特殊性。だから除染はここ1、2年が勝負。本気になって『帰れるんだな』という思いを作らないとダメなのに、国の認識は非常に甘い」と語った。【北村和巳】
何ともいたたまれないニュースだ。
村民の思いが痛いほど分かる。
原発事故は明らかに人災である。想定外という言葉を乱発して自然のせいにすればいいということではない。
東京電力の企業への大幅な値上げ宣言など、その不遜な殿様経営にいま、各事業体から怒りが向けられている。まず値上げありきの姿勢に腹が立つ。
やるべき責任をすべて果たしたうえで、値上げについて話をしてほしいと思うのは健全な精神をもっている人間なら当然考えることであろう。
「値上げ」は経営者の権利。現社長のコメントだ。
ふざけるなと言いたい。
値上げせざるをえない状況をつくったのは東京電力ではないか。
そういう傲慢体質が根底にあるから未曾有のフクシマのような惨禍を招いたのだ。
都合よく事実を隠蔽し、嘘をつく。
それを放置しているマスメディアの大半。
フクシマの問題は日本の問題である。
自分たちが使う電気を供給してもらっていながら村民が直面している問題を等閑視してはいないか、首都圏の人間はもう3.11を忘れつつある。
記事の中で気になったのは村民の健康状態の中での心の崩壊である。
体調不良の中での不眠ほど辛いものはない。完全に鬱状態に陥っている人も多いのではないか。
自分が経験者だからよくわかる。
故郷を追われ、家族とも離れ離れ。家庭崩壊の寸前という言葉は辛すぎる。
原発などいらない。改めて強く想う。
電力より大切なものがあるだろう、故郷。心の絆。家族。人とのつながり。
今でも原発必要論をぶっている人間は自分の故郷がとか、自分が家族と離れ離れになったらという他者への想像力が欠如しているのだ。
脱原発を提唱したドイツの動きは極めて迅速だ。
こうだと決めたら行動する。そういうポジティブな姿勢を見習うべきだ。