痛快無比・時代小説の傑作。読まない人は損をする。
「安政五年の大脱走」を昨日読了した。
痛快無比。最後の大どんでん返しは圧巻であった。
小説ならではの面白さを久々に味わった。こういう本に出合えるから、読書は最高の娯楽なのだ。
映画「大脱走」のオマージュで書かれた作品ということであるが、ひねり方は本家を上回っている。
しかし、この脱出劇の発想の奇想天外さには本当にまいった。
読み終えた後で、ブログを書こうとしたのであるが、面白さの余韻に浸って書けなかった。
時代小説がどうも苦手という人にこそ読んでほしい作品である。
最後の脱出劇に至る伏線の張り巡らし方も見事である。 四十七士の忠臣蔵は定番であるが、五十一人の南津和野藩の武士の忠義も見事である。
あまり書くと興醒めになるので、ここら辺にとどめておこう。 絶対読んで損はしない傑作である。
大推薦!! 空前絶後のおもしろさ 安政5年の大脱走
JUGEMテーマ:
読書これは文句なしにおもしろい。
多才な作家 五十嵐貴久の時代小説「安政5年の大脱走」である。
安政といえば大獄時代。主役は井伊直弼。
大老職にまで上り詰めた井伊直弼の人生も波乱万丈であるが、44歳にして恋に落ちる。
その相手はたった4万3千石の小藩 私のふるさと島根の南津和野藩の姫君である。
津和野のとなりは長州藩。つまり、長州藩に属する藩というニュアンスがつよい。
言い換えれば、開国派の井伊直弼と尊王攘夷の旗頭、長州との戦いも背景にはある。
そのため、井伊直弼の参謀 長野主膳は一計を案じる。
それは、佐幕派に謀反を企てるという嘘の謀略を口実に、南津和野藩の姫君を強引に井伊直弼の側室に仕立てるという案である。
断崖絶壁の孤島に人質としてとらわれた南津和野藩の志士51名。
刀を取り上げられ、さりとて、海に身投げしても助からない状況下。
まるで、アメリカ映画「アルカトラズからの脱出」である。
絶体絶命の中で、見出した姫救出および脱出作戦とは・・・
ハラハラ ドキドキ。とにかくおもしろい。
自分は時代小説は苦手なジャンルで、唯一すきな作家は吉村 昭氏であった。
「長英逃亡」などは最高にスリリングな傑作である。
500ページの大長編であるが350ページを一気に読んでしまった。
人物像の作り方にも味がある。
小説の醍醐味を十分い堪能している。
涙の理由 脳科学者と作家の対談から読み解いたもの
JUGEMテーマ:
読書今や著作の数もそうであるが、テレビ番組にひっぱりだこの脳科学者 茂木健一郎と作家 重松清による異色対談である。
そもそものきっかけは重松 清の作品である「その日の前に」がベストセラーになり、せかちゅーで本の帯に柴崎コウが「泣きながら一気に読んだ」のフレーズから、泣ける本という新しいジャンルであるかのような本が続々と刊行されたことに、重松 清が違和感を感じたことから、涙を流す時に脳では何が起きているのかを探るという根源的な部分からこの対談は始まった。
一気に読んで感じたことは100万人が泣ける本というものは、その涙は自分のものではない借り物であり、そもそも泣くには、読者ひとりひとりの感度があるわけで、泣くことに意味があるのではないということを鋭くついている。
それから、病気で闘う人の闘病記で泣けるとか、死んでいくシーンで泣けることに対しても茂木氏は疑問を呈している。
死は誰にでも訪れるものであり、がんで若くしてなくなったから泣けるというのは同情であり、そんなところで泣けるなら、何にでも泣けるということであり、意味をなさない。大切なことは、自分の人生と共感するする部分はないのか、泣くには泣くだけの理由というものがきちんと読者ひとりひとりに存在しないといけない。
そうでなくなると、この本をよんだら絶対に泣かなくてはいけないといった脅迫的・強権的な恐ろしい世界がうまれてしまうということを、自分なりに読み解いた。
泣かせようと思って書いている作家はあざとい。自分はそう思う。
あくまでも読み手の感受性が大事なのであり、茂木氏の映画「タイタニック」で泣けるというのが信じられないという言葉が妙にリアルに心に響いた。なぜなら、自分もあの映画はアカデミー賞を独占するほどの価値もないし、退屈極まりない映画だったからである。
他人の涙に流されてはいけない。泣ける本などという言葉にだまされてはいけない。
自分が最近、ほろりときたのは先日紹介した「奇跡」の離れ離れに暮らす母と二男の会話である。
その感覚はおふくろと10年以上離れ離れに暮らしたことのない人間にはわからないだろうし、わからなくて結構だ。それだけ、普遍的な涙などないということである。個の生きざまに帰結するのだ。
涙も感動も・・・
期待外れ・・・ナニワ モンスター
海堂 尊の新作「ナニワ モンスター」を読み終えた。
正直、期待外れであった。
メディカルサスペンスという事で、もう少し奥行きのある物語の展開を期待していたのであるが、肩透かしであった。
近未来を予見しての中央集権の腐敗の温床ともいえる霞が関に対しての、ナニワからの反撃という単純な構図は、同じ近未来小説である伊坂幸太郎の「モダンタイムス」などと比べても小説ならではのダイナニズムに欠け、面白味は感じなかった。
医療国家の建設。道州制の導入。など、ところどころで新味をだしているが、前半の面白さが半ば過ぎから失速してしまった感は否めない。
次回作に期待したい。
ナニワ・モンスター 海堂 尊の最新作
「チームバチスタの栄光」で一躍注目を浴び、続々とテレビ化や映画化されるにいたった海堂 尊の最新作「ナニワ・モンスター」を今日から読み始めている。
医療ミステリーに属するのだろうが、海堂氏の作品を読むのはこれが初めてである。
一時期、わが国でも騒然となった新型インフルエンザを物語の核におきながら、内実はもっと根深い霞ヶ関の闇に迫っていく展開は、作品に厚みを与えている。
各省庁の不祥事をルーレットで決めるというのは虚構であろうが、不気味な真実味を帯びている。
検疫制度のありかた、それにからむ各省庁の思惑。
普通のインフルエンザでも年間数千人の死亡者が出ているのに、ことさら新型、新型といって恐怖心をあおる扇動メディアの実態など。
納得させられる内容も含まれている。
単行本370ページの本であるが、早くも280ページ読んでしまった。
それだけ、この小説に力があるという証明であろう。
医療ミステリーといえば、自分は仙川 環を思い出す。このブログ上でも何度か紹介してきた。
狂犬病を取り上げるなど、馴染み深そうな病気でありながら、実際の怖さをしらない実態を浮かび上がらせるなど、個人的には好きではあるが、正直、平均的なミステリーの域をでないという印象であった。
読了して何を感じるか。また、ブログで感想を紹介したい。
不可思議な現象
このブログ上で不可思議な現象が続いている。
普通、自分のような素人のブログにおいて、書き込みをしなければ、アクセス数は100を割り込み、下手をすれば30台というのが今までの傾向であった。
しかしだ、このところ書き込みをしていないにも関わらず、100以上をキープしている。
横浜西口ラブホテル殺人事件についての記事を載せたあたりからだ。
事実は小説より奇なり。そのことが波紋を広げているのかはわからない。
自分自身、その被害者からの電話が殺される五日前にかかってきたことも事実。
怖いのは、そういう被害者が今後も出ることが容易に予想されることである。
暴力団を背後に控えての売春組織。元締めの女性の存在。
強盗を働いた23日事件当日の男性も許せないが、この元締めの女性も逃亡中である。
しかも、この事件の主舞台は横浜である。
殺された女性の名前のまま、ある出会い系サイトではいまでもプロフィールが使われている。
一人の人間が殺されたのにもかかわらず・・・
そこで、犯罪行為として通報した。
その事実がとてもこわい。
女性の居住区は渋谷区でありながら、渋谷ではこういう事件が発覚していない。
横浜で起きたことが象徴的である。電車一本でつながる犯罪。
あまり書くと、いまも捜査に奮闘中であろうと予想される神奈川県警のH刑事に申し訳ないので、ここまでにしておくが、何が真実で、何が嘘であるかのラインが曖昧になっている。
年齢認証制度が導入されたが、あまり効果はないらしい。
女性は化粧でいくらでも化ける。いたちごっこだという話がこころに残る。
早期の事件解明を求める。
石原伸晃自民幹事長の問題発言
JUGEMテーマ:
ニュースまたまた、自民党の幹事長である石原伸晃が非常識な問題発言をメディアに向かって発表した。
反原発の動きに対して「集団ヒステリー」とのたまったのだ。
欧州各国をはじめ東南アジアにおいてもクリーンなエネルギーに変えていこうとする動きが、このフクシマの事故を契機に盛り上がり、その動きこそが今後の地球環境を考える上では、極めて大切なことであり、人類の英知を結集する千載一遇のチャンスであるこの時期にこの発言。
無知な一般人ではなく政治家であり、民意によって選ばれた人間の言うことか?
私の住んでいるこの横浜でも土壌調査で放射能が検出されたというのにだ。
あきれてものが言えない。
こういう輩がいるから、東京電力の7次・8次の下請け会社の存在や最底辺の何も知らない人間を原発内に送り込むという、労働基準法に明らかに抵触する犯罪も見過ごしになるのだ。
かれらの賃金は命をかけているにかかわらず自給9000円と時事通信社は報じていた。
あまりにもリスクが大きい割には安すぎる。履歴書には何も問わない。とにかくお金がほしければ原発に入って作業してくれと言う無謀な人員の募集。
人間の命をないがしろにする東京電力の体質をバックアップしてきたのは何度も言うが、自民党ではないか。
原発内は危険と言うことで労働基準局が労働者の不当労働の実態を調べる前に事前に報告をせざるを得ないという状況のつくり、調査の間までに実態を隠蔽するという、抜き打ち調査もできない仕組を作り上げたのも自民党政権下のときである。
ふざけるのもたいがいにしろ。フクシマの人々や世界の反原発運動に参加している人々は、石原を許してはいけない。問責決議案を民主党はつきつけるべきだ。
満を持して 「謎解きはディナーのあとで」
いよいよ満を持して東川 篤哉の本屋大賞受賞作「謎解きはディナーのあとで」を読み始めている。
電車の中でもう既に半分を読み終えた。
非常に読みやすいミステリーだ。
ショートの連作集ということもあるが、主人公の令嬢刑事 宝生麗子と執事の影山との掛け合いは絶妙であり、ページを繰る手のスピードもおのずとアップする。
東川氏で好きな鵜飼探偵シリーズに時折見られるあざといギャグもなく、ライト感覚でのミステリーとしては一級品だろう。
ただ、苦言を呈すれば、これが今全国の書店員の方々が一番売りたい本なのかという点には、いささか疑問もある。
昨年度は、読書ブロガーとしては恥ずかしいくらいの数の本しか読んでいないので何ともいえないが、数年前の本屋大賞までの作品と質的に変化してきているような気がする。
何も変化が悪いといっているのではない。あくまでの質的な内容が勝負だと思う。
重厚長大な物語を期待しているわけではないが、軽すぎないかという気はする。
今年はガツンとした作品がでてくることを期待している。
AKB48のぼんくらファンと日本テレビへの怒り
JUGEMテーマ:
ニュースこの国はどうなってしまうのだろうか。
巷ではAKB48の総選挙の結果が福島原発事故の作業員の内部被曝よりも話題になっている。
AKB48などどうでもいい。
AKBの話題など一部のぼんくらなもの同士でつるんで盛り上がればいい話だ。
それをまたぞろ視聴率ねらいで取り上げる日本テレビの馬鹿さ加減に腹がたつ。
そもそも読売グループは右旋回の危険性を秘めている局であり、森達也のオウム真理教の信者を真摯に取り上げたドキュメント番組を、一方的に反故にした扇動局であるから、人の命よりもかわいくもなくそこらへんにうじゃうじゃいる高校生並みのアイドルをちやほやする方が得策であると判断したのも理解できる。
実にくだらない。
福島第1原発事故で、東京電力は10日、多量の内部被ばくが判明した30代と40代の男性社員2人について、外部被ばくと合わせた総被ばく量がそれぞれ678.08ミリシーベルトと643.07ミリシーベルトだったと発表した。厚生労働省が緊急時の特例として引き上げた限度250ミリシーベルトを2倍以上超過した。
この記事を読んで何も感じない日本人がいるとするならば、それは自己のメルトダウンが始まってると考えたほうがいい。
この放射線量を浴びた社員は、100%に近い確率でがんをすぐにではなくとも発症するであろう。
チェルノブイリが証明している。また3号機では50代の男性が重体で病院に運ばれた。
脱水症とも疲労の蓄積ともいわれている。
何がAKBだ。略してあかんたれのばか48人。それに群がるぼんくらおたくファン数万人。
貴様らが防護服を着てボランティアで作業しろ。
自分らの命のために命をかけて働いている人間に敬意を払わない行為を冒涜という。
いつか大きなしっぺ返しをくらうのだ。
本屋大賞の影響の大きさ
JUGEMテーマ:
読書改めてここ数年での本屋大賞の影響の大きさを感じます。
「ミステリーはディナーの後で」で受賞した東川 篤哉の旧作が大抵の大手とよばれている書店に設けられています。
自分はへそ曲がりなので、受賞作は読まず、それ以前の作品を紹介していますが、やはり、手がまた東川作品に伸びてしまいました。
ご存知、鵜飼杜雄探偵シリーズの「ここに死体を捨てないでください」です。
まだ、半分しかというか1時間ちょいで既に半分と言うべきか、読んだのですが、ユーモアというかギャグ満載のトークは健在で、内容は本格的と言うバランスはとれています。
ただ、ややギャグに走りすぎている部分もところどころに散見できるのですが・・・
発想のおもしろさはかいます。冒頭から謎に引き込む力もある。
今後、どのような作品で私たち読者を堪能させてくれるのか楽しみな作家です。
個人的には鵜飼探偵シリーズはずっと続けてほしいと願っています。
(C) 2024 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.