爽やかな読後感 絶対、最強の恋のうた

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    JUGEMテーマ:読書

    平成23年 3月31日。つまり、今日は平成22年度の終わりの日だ。
    最近は敬体も常体も混同して、訳のわからないことになっているが、どうかご容赦を。
    今年度は職場異動、体調不安もあり、ブログの総数自体が極めて少なく、裏返せば、1年間で読んだ本の冊数は30冊くらいと「読書ブロガー」としては、なんともお粗末な結果になってしまった。

    その情けない平成22年度を締めくくった本が、中村 航「絶対、最強の恋のうた」だ。
    中村 航といえば以前紹介した「100回泣くこと」で本当に泣かされた経験がある。
    好きな作家の一人だ。

    今回は、書店に行って、表紙の絵とタイトルに惹きつけられ、衝動買いをしてしまった。
    何とも読後感の爽やかな恋愛小説だ。

    恋はスタンプカードのようなものだと私は思う。
    キスをして、好きだと思って、何かを分かり合って、優しい気持ちになってー
    そんなことがあるたびに私たちはスタンプを押す。
    スタンプが集まったら、次のカードをもらいに行こう。

    いつまで続くのかな。密やかな気分で私は思う。
    このカードはいつかかけがえのない何かと交換できる。
    そんな日がきっとくる。
    その日まで、私たちは小さな声で歌うのだ。

    絶対 最強の恋の歌を歌うのだ。

    爽やかに締めくくれたこの気持ちが来年度につながるといいなと思っています。
     

    もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

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      JUGEMテーマ:読書
       
      自分はベストセラーというものを買った経験がない。
      自分が読んだ本が後にベストセラーになったものはいくつかある。
      「大往生」「バカの壁」など。
      今回はいま200万部を突破した「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」というベストセラーを読んでみることにした。

      特にきっかけはない。
      ベストセラーになる以前から、タイトルには注目していたし、書店でぱらぱらとめくってみたこともある。
      しかし、絵に拒絶反応を示していた。いわゆる萌え系のキャラが表紙だったからだ。

      内容は青春ドラマである。典型的な。
      そこにドラッカーのマネジメントの理論をクロスオーバーさせた着眼点がおもしろいと思った。
      一気に読める。
      ラストができすぎというかんもしないではないが、楽しめたことは事実である。
      この著者の岩崎夏海さんは、先日、紹介した「甲子園だけが高校野球じゃない」の編者でもある。

      こういう青春ドラマがあってもよいと思う。
      ドラッカーという言葉に惑わされないで気楽に読んだほうがよい。

      I'D RATHER GO BLIND

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        JUGEMテーマ:音楽

        タイトルはロッド・スチュワートのマーキュリー時代の傑作アルバム ネバーダル ア モーメントに収録されている曲名です。

        ずっと思い返している
        キスのこと お前の温もり
        グラスを傾け そっと唇を押し当てても
        そこに映るのは
        頬をすべり落ちる涙の筋だけ

        いっそ、目が見えなくなればいい
        お前が去っていくのを見届けるくらいなら

        自分はいまある女性に「戀」をしています。
        あえて古字を使ったのは、今の恋はふたまたの天秤ばかりにかけるという心を表したもの。
        古字は切なくもどかしい思いが、糸のように心の中に糸のように絡み合って言葉にできないという意味を表しています。

        とても大切なメールを送信しました。
        5日経っても返信はありません。
        退路は断ってあります。
        その女性のアドレスも電話番号も消去しました。
        つまり、何の連絡もなければ、永遠にさよらなということです。

        出会いもとても偶然でした。30分はやく席を立っていれば、永遠に出会わなかったからです。

        連絡がないほうがよいのかもしれません。でも・・・
         

        甲子園だけが高校野球じゃない

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          JUGEMテーマ:スポーツ
           
          さだまさしの楽曲の中に「甲子園」という楽曲がある。
          その歌詞の中に、負けたチームはたとえ、それが県大会の一回戦であろうと甲子園の決勝戦であろうとたった一度だけという言葉が出てくる。

          今日のブログのタイトルの「甲子園だけが高校野球じゃない」はまさに、甲子園をめざす過程の中での生身の高校生の心からの声を一冊の本にまとめたものであり、フィクションではない。

          だからこそ、心を打つ。読んでいて無性に泣けてきた・・・

          トーナメントという巻けたら終わりという中での一回性のドラマに私たちは心惹かれる。
          しかし、負けて始まると編者は綴る。

          高校野球が終わってからのほうが人生は長いのだ。

          勝つことにこしたことはない、しかし「負け」の集積の中にこそ、人生を生きていく力はあるのだという言葉に共感した。

          ビフォア・ラン 重松清の原点

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            JUGEMテーマ:読書
             
             単行本が古本屋でもなかなか手に入らないといわれている重松清の原点である
            処女作「ビフォア・ラン(幻冬舎文庫)をやっと読んだ。
             自殺がひとつの大きなテーマになっているので避けていた気持ちがずっとあった。
             なぜなら、重松清の作品の中で「舞姫通信」というものがあるが、自殺そのものがテーマであり
            読後感があまりよくなかったこと。テーマの掘り下げ方が弱かったことが印象にのこっていたからで
            ある。

             しかし、この作品はいい。
             多くの書評家が評しているように、荒削りな部分はあるのであろう。
             でも、私は荒削りのほうが小さくまとまった、手馴れた作品を量産するよりは価値があると思う。

            「走り出さなければいけない。走るのか走らされるのかは分からないけれど、僕は一歩ずつスタート
            ラインに向かって歩いている(中略) 目標は、自己記録の更新。敵はいない。助っ人もいない。
            ぼくは、ぼくだけのために、ぼくひとりで走る。」

            紀子に優がこう告げる。「俺、お前のことが好きじゃけん。」
            心に響いた。シンプルな言葉。
            この言葉にいたるまでの中身は是非読んでください。

            自分自身も病をかかえながら教職28年目のスタートラインに来週立つ。

            僕の図書館カード 本は知的財産

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              図書館カードを持っている人は多いと思う。 しかし、アメリカでは黒人差別が横行していた時代、白人のみにしかその権利は与えられなかった。 「僕の図書館カード」という絵本の作者でもある、ウィリアム・ミラーは活字に渇望した日々を淡々とかたっている。 デイケンズやトルストイなどむさぼり読んだ様が絵本の挿絵を通してひしひしと伝わってくる。 日本は図書館のみならず書店も多く新刊本が山積みになっている。 しかし、高校生を例にとると月に一冊も本を読まないという事実が浮かび上がってくる。 いま、 AC広告機構のコマーシャルでは本を読むことで知層ができてくるというコマーシャルを頻繁にながしている。 本は知的財産だ。 知的財産を自分の中に蓄えていくのか、捨てるのかで人生は大きく変わるというのは言い過ぎだろうか。

              東北関東大震災の被災者の方へ

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                JUGEMテーマ:日記・一般

                この度の東北関東大震災で亡くなられた方にはご冥福をそして辛く苦しい避難生活を送られている30万人以上にものぼる方々にはお見舞い申しあげます。

                漢字の気持ち(新潮文庫)という本を読みました。
                その中で、明るいの「明」の左側を私はお日様のことだと思っていました。
                しかし、これは大きな間違いでした。これは窓を表しているのです。
                つまり、あかりのない時代を生きていた古代人にとっての明るさとは、窓から射し込む月あかりだったのだそうです。

                避難所にはその月明かりさえ射し込まない状況のようで胸が痛みます。
                そして、望みの「望」とは月が見えない状況のなか、下の王という字義は人々が立ち上がって見ようとしている様を表しているのです。
                希望は遠くにあるけれど、暗闇の中でも一筋の明かりを求めた人間の姿が『望み」という漢字になったのです。

                私の被災経験は大学時代に南アルプス縦走の最中に、台風に襲われテントが夜中に飛ばされ、暴風雨の中、テント探し、そして設営を行った経験が一度あります。
                漆黒の闇の中での作業は困難をきわめました。
                救ってくれたのはヘッドランプの灯りでした。
                しかし、この台風で尊い若者10名の命が奪われました。
                その経験をふと思い出してしまいました。

                どうか、被災地に灯りと水道が復旧するのを祈るのみです。
                 

                かあちゃんに軍配あり

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                  Ipadで初めてブログの文章を打っている。
                  予想以上に使い勝手がいい。
                  さて、今日は重松清「とんび」を読了した。帯の今一番泣ける本というのには閉口したが、良作だと思う。でも、自分は泣けなかった。
                  その理由として、主人公の父親であるやっさんが文中で泣きまくっているからだ。
                  むしろ、脇役人で成り立っている作品である。悪い人が一人も出てこないというのも古き良き昭和の人情ドラマに通底するものがある。
                  海雲和尚の「お前は海になれ」という言葉が身にしみた。
                  海に降る雪が悲しみならば、それを受け止め消し去る海になれ。
                  しかし、個人的には「かあちゃん」の方が好きである。誰もが等しく母親から生まれてくる。
                  その背景にそれぞれの喜びや悲しみがある。
                  ひとりの母を主人公にしているのではないのも、新機軸であり、楽しめた。
                  テーマは深い。謝ると償うの違い。
                  多くの人に読んでもらいたい作品である。
                  JUGEMテーマ:読書

                  突然の復活宣言!

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                    JUGEMテーマ:日記・一般

                    約5ヶ月ぶりの投稿です。
                    まさに突然の復活劇となりました。
                    しかしながら、体調はあまり芳しくなく、右耳はほとんど聞こえない状態であり、満身創痍の日々です。
                    そんななかでも本は読んでいます。
                    最近読んだ中では、再読の重松清の卒業
                    「まゆみのマーチ」は何度読んでも泣ける・・・
                    好きという言葉の重みをしみじみと感じさせてくれる一編。
                    重松清では「かあちゃん」もいい。

                    肩透かしだったのがクリスチアナ・ブランドの「疑惑の霧」。
                    緊迫感があるものの、最後があれでは・・・

                    話は変わりますが、病気になってみてくっきりと見えてきたものがあります。
                    元気の時には親しくしていた仲間が、気遣いという欺瞞のもとに私を遠ざけているという事実。

                    鬱病ってそんなに恥ずかしい病ですか?
                    一方で、心優しい声をかけてくれる旧友や教え子もいる。

                    だれが味方で、だれがそうでないのかがはっきりと見えてきました。
                    そういう意味では病気もそう悪くはない。

                    己を知り、他人を知る上での秤になる。

                    明日は心療内科の通院日。
                    今の状態では、何を言われるのか少々怖いというのが本音です。
                    でも、ありのままを受け入れるしかない。それが苦しくとも自分の人生。

                     

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