重松清の最新作「季節風・春」ツバメ記念日を読みました。
短編集ですが、ひとつひとつの作品がとても温かく、読み終えた後に、心の中にじんわりとしたものが残る作品集です。今年読んだ本では、初めて瞼が熱くなり、思わず涙がこぼれてしまいました。感動とか大げさなことではないけれど、人間っていいなあって感じさせてくれる本です。
どの短編も好きですが、タイトルにもなっているツバメ記念日の次の言葉がいまの自分の心に響きました。
世の中の記念日のように、何か大きな出来事があったわけではない。誕生日や結婚記念日のように、その日に何かが始まったり、何かが変わったり、というのでもない。
5月の終わり、梅雨入りの間近の曇り空に覆われた、どうということのない一日だ。
それでも、パパとママは、その一日をずっと大切にしてきた。(中略)
ベンチの真ん中に由紀が座って、それを左右から挟んでパパとママが座る。何をするというのでもない休日のひとときを、パパはいま、胸を張って、小さな声で、それが幸せってやつだよ、と言おう。
ネタばれになるので、あとは読んでください。自分もそうですが、仕事が忙しくてついつい自分の本質を見失いがちになったり、心が知らず知らずのうちに、ささくれだっていたりするなあって感じている人。特効薬にはならないけれど、心の栄養剤にはなってくれるそんな作品です。自分は小説の言葉の力を信じています。たかが小説ではない。小説を読んで自然と涙が零れ落ちる自分の感受性を大切にしたい。それってとても素敵なことだと思うから・・・
短編集ですが、ひとつひとつの作品がとても温かく、読み終えた後に、心の中にじんわりとしたものが残る作品集です。今年読んだ本では、初めて瞼が熱くなり、思わず涙がこぼれてしまいました。感動とか大げさなことではないけれど、人間っていいなあって感じさせてくれる本です。
どの短編も好きですが、タイトルにもなっているツバメ記念日の次の言葉がいまの自分の心に響きました。
世の中の記念日のように、何か大きな出来事があったわけではない。誕生日や結婚記念日のように、その日に何かが始まったり、何かが変わったり、というのでもない。
5月の終わり、梅雨入りの間近の曇り空に覆われた、どうということのない一日だ。
それでも、パパとママは、その一日をずっと大切にしてきた。(中略)
ベンチの真ん中に由紀が座って、それを左右から挟んでパパとママが座る。何をするというのでもない休日のひとときを、パパはいま、胸を張って、小さな声で、それが幸せってやつだよ、と言おう。
ネタばれになるので、あとは読んでください。自分もそうですが、仕事が忙しくてついつい自分の本質を見失いがちになったり、心が知らず知らずのうちに、ささくれだっていたりするなあって感じている人。特効薬にはならないけれど、心の栄養剤にはなってくれるそんな作品です。自分は小説の言葉の力を信じています。たかが小説ではない。小説を読んで自然と涙が零れ落ちる自分の感受性を大切にしたい。それってとても素敵なことだと思うから・・・