36℃の熱い言葉を放ちたい

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    最近の天声人語から心にとまった言葉を紹介します。
    「互いの間柄いかんで、言葉は丸くもなれば、とがりもする。(中略)少々荒っぽい指導でも受け入れられる信頼感がクラスにあったということだろう。教師の言動がいじめに結びつくこともあるから、判断はなかなか繊細だ。しかし、先生たちのもっている「人間力」も封じ込んでしまう杓子定規は、学校の魅力まで一緒にそいでいくように思える。角を矯めて牛を殺す。そんな故事もある。」
    人間は大体が36℃の熱をもって生きています。本来は熱い思いを胸に秘めて生きているものです。ところが、その熱い思いを放射することが受け入れられない風潮がいまの時代にはあるような気がします。言葉は生きているものであり、ヒートアップすれば時として人の心を温める以上に、傷つけてしまうことはおうおうにしてある。
    そういったやり取りの中で、ちょっと言いすぎたかなとか、相手とのスタンスの取り方を学んでいくのだと思う。そして、お互いが心の機微を理解しあえるようになるのだと思います。ところが、今は一方的に、その言葉が使われた背景やいきさつは無視され、言葉のみをとらえて、人権感覚を疑問視するなどという第三者的な物言いで断罪される傾向にあると思います。そこに何が生まれるのでしょうか。
    僕は間違えることがあってもいつも36℃の熱い言葉を放つ人間でいたい。
    勿論、自分が放つ言葉には自己責任をしょいこんで・・・

    たまにはいいよ  「在宅」小説・家日和

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      奥田英朗の最新小説「家日和」をいま読み終えました。
      奥田英朗といえば、何と言っても「最悪」が自分自身にとっての最高傑作で、その後の「邪魔」もよかったです。ジャンルでくくればクライムノベルということになるのでしょう。その後、直木賞を受賞するわけですが、私自身は作品からは遠ざかっていました。
      その奥田英朗の最新作は「いい人は家にいる」と帯でも謳われていつように夫婦の心の機微を描いた在宅小説。
      あまり期待もせず、連作集のひとつめのサニーデイを立ち読みしていたのですが、淡々と展開するストーリーの中にも、ちょっとあまくて、ちょっとビターな夫婦の心の動きがうまく描写されていて、新たな奥田英朗の一面を感じ取ることができました。
      一番、気にいったのは、「夫とカーテン」。洒落っけのないタイトルではありますが、いい味だしてます。ひとつの仕事を長続きさせることのできない夫、栄一が「これからはベンチャービジネス」と新たな仕事を起業するたびに、うんざりしながらもイラストレイターとしての自分の作品が冴えていく妻「春代」の心の動きが丁寧に描かれている作品です。
      「きっと夫婦だからシンクロしてるんだよ。夫のベンチャースピリットに刺激されて、眠っていた刺激が眼を覚ますんじゃないのかな。」
      「違うと思う。夫が仕事でこけても独りで生きていけるように神様が配置してくれているのよ。」
      栄一が事業に失敗しても、春代から離婚する気はない。愛しているから、とまでは情熱的ではないにしても、いないとかなり淋しいからだ。こういうところの会話のやりとりがうまい。愛してるとはいえなくても、いないと淋しいというつながりってゆっくりとけて、灯りが段々とちいさくなっていく蝋燭の雰囲気とよく似ていると思います。スピード感もドラマティクな展開もないけれど、たまにはこんな小説もいいなあと思いました。

      コメントありがとう!

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        たえさん。「100万回生きたねこ」の記事にコメントありがとう。
        あなたがお薦めの「おじさんのかさ」は僕の大好きな絵本の一冊です。
        本が嫌いなうちの二人の息子にも小さいころ読み聞かせをしたら、大喜びでした。
        「おじさんのかさ」に溢れているユーモアとか温かさとかが今の時代には少し足りないのではないかと思います。楽しい
        ところで、重松清>「みんなのなやみ2」をやっとよみおわりました。
        200ページあまりの本なのに、なかなか読むのが捗らなかったのは、一人ひとりのなやみのかかえる重さがずしりと響いたからです。
        以前にも書きましたが、そんな悩みに対して、上から目線ではなく、対等に真摯に言葉を搾り出している重松清のスタンスに共感を覚えました。
        エピローグがまたいい。
        「なやみ」というのは、毎日の生活を思い通りにさせなくするもの、毎日を失望させるものです。喉に刺さった小骨のように、楽しい気分をひしゃげさせたり、気分を塞いだりする。でも、そうやって思い通りにいかなかったり、自分がちょっと嫌いになったり、元気をなくしたりしたりすることが、逆に、大変な自己嫌悪に陥ったり、どうしようもないほど絶望したりすることから、ひとを守っているんじゃないのかなとと僕は考えています。
        なやみをもつことは、全然悪くない。むしろ、弱さやずるさ、どうしようもなさを背負い、なやみながら生きていることで、ひとはかえってしぶとく、たくましく生きていけるんじゃないかなという気持ちがするのです。>

        漢字にも方言が・・・

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          4・16日付けの朝日新聞の記事で、「おっ」と注目したのは、漢字に方言「地域文字」という見出しでした。
          「日本で作られ、漢籍には見られず、訓しかない字」と国字を定義したのは江戸中期の儒学者の新井白石ですが、国字の代表文字は「峠」「畑」「働」などです。それに加え、今回紹介されたのは人名や地名としてその地域にだけ残り伝わる「地域文字」です。沖縄では木偏に筆とかいて「でいご」と読ませるそうです。
          消え去るはずだったこれら地域文字がしぶとく生き残った背景について、早稲田大学の笹原教授は次のように述べています。
          「文字が文化そのものだからです。生活に結びついた文字はただの道具ではなく、雰囲気や背景の文化を伝えます。」
          言葉や文字を大切に残していくことは学習ではなく、文化的な営みであるということを肝に銘じたいと考えました。

          松田聖子の言葉

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            くじけそうになることはあるけれど、それでも私はこれが好きだから続けていく。」
            これは松田聖子がNHKの番組で語っていた言葉です。
            新しい年度を迎え、忙しさの中で、大好きな読書や活字から遠ざかり、このブログもずっと更新できないでいる自分の姿を振り返ったとき、この言葉は心に響きました。
            忙しいとは心が亡くなるということ。忙しいからこそ、大好きな本と親しむ時間を意地でもつくり、このブログに立ち寄ってくださる方のためにも更新していかなければならないのだなと反省させられました。
            今、読んでいるのは重松清が小・中・高校生のなやみにこたえるという形の本、ズバリ「みんなのなやみ2」です。
            大好きな寄り道パンセシリーズの一冊。これが、とてもいい。
            障害をもつ妹と自分自身の将来を憂えてなやみを書いた神奈川県の高1の少女への重松清のまなざしは温かい。自分の言うことはきれいごとですと回答の中で何度も書いている。
            あなたの苦しみを解決するための力などないのかもしれないと率直に述べている。
            でも。僕は読んでいて、心が震えた、帰宅途中の電車の中で涙ぐんでしまった。
            したり顔で、ズバリ言うわよみたいな回答なんて嘘だと思う。
            重松のように、きれいごとだけど、苦しみ分かってあげられるとはいえないけど、でも少しの力にでもなればという答えのほうが人間の良心に近い気がします。
            謙虚に相手に向き合うとは、そういうことだと思う。そんなことを考えさせてくれる好著です。

            ソウルケージ −魂の籠からの訣別−

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              「魂の籠に捕らえられている。」
              パイロットフィッシュの大崎善生の短編集「孤独か、それに等しいもの」の中に収められているソウルケージの書き出し。
              主人公が自分の感情を魂の籠に投げ捨てている背景にあるものは母の死と小学校時代の教師から受けたある行為。
              母の死も末期がんに冒された愛人とダイナマイトで心中を図ったといういうもの・・・
              肉体も精神もこなごなにした最期。
              その魂の籠の中から、どう訣別し、再生を図るのかが静かに語られていくストーリーです。
              私が一番、心に残ったのは、最後のシーンの主人公の心のつぶやき。
              もう、怖くはない。
              何も、恐れることはない。
              あの籠の中から、私を救い出すものは、白い粒による化学反応ではなく、知らないうちに自分を取り囲んでいる人間の優しさなのだ。私はそれに囲まれている。
              それが、今も私を守っている。

              ジャカルタに行く友へ

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                君の行く手はたとえどんなに険しくとも
                この横浜で見守っている仲間がいることを
                心にとめて前を歩いてほしい。
                そして、3年後に笑顔で
                まるで昨日のことのように自然に
                「おい元気だったか。」と言える
                そんなつながりでいたい。
                俺たちも日々を子供たちとともに頑張る。
                お前も頑張れ!
                飾り言葉なんていらない
                元気でな。またな。

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