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シリアがかかえるキリスト教徒の複雑な事情
評論 / カーソン・ライダー 
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    JUGEMテーマ:日記・一般
     
    無知とは怖いものであり、恥ずべきことである。
    それは自分自身のことだ。
    シリアの話題については折に触れ書いてきたが、政権を握る少数派のアラウィー派が支持基盤としてキリスト教徒を取り込んできたという背景は知らなかった。
    「目から鱗」という語源にしてもだ。
    以下、朝日新聞のWEBRONZAからである。

    シリア情勢の構図は、政権を握る少数派のイスラム教アラウィー派と民主化を求める多数派のイスラム教スンニー派の対立である。アラウィー派は、人口の12パーセント程度、スンニー派は70パーセントとされる。あわせても82パーセントにしかならない。

    残りの18パーセントは、どうなっているのだろうか。イスラム教の他の少数派のイスマイリー派やドルーズ派、それにキリスト教徒が18パーセントを構成している。

    中東の独裁政権は、マイノリティーであるキリスト教徒を支持基盤に取り込んできた。特に政権自身がマイノリティーによって形成されてきた場合は、その傾向が強い。イラクのフセイン政権は、人口の2割程度にしか過ぎないスンニー派の政権であった。シリアのアラウィー派の少数派政権であるアサド体制も、イスマイル派やキリスト教徒の支持を集めてきた。

    独裁政権との深い関係は、政権崩壊後にキリスト教徒に対する迫害を引き起こす。イラクの場合でもキリスト教徒への迫害が激しくなり、多くが国外に脱出した。例外は治安の安定している北部のクルド人地域である。ここではキリスト教徒を含む少数派が、平和裏に日常生活を守っている。

    シリアのキリスト教徒の人口は、全体の10パーセント程度と推測されている。その歴史は古く、新約聖書にも言及がある。

    一番有名なのは、キリスト教徒を弾圧していたパウロがダマスカスへの途上でイエスの声を聞く話である。突然に天からの光がパウロを失明させた。そして同時に「なぜ私を迫害するのか?」との声をパウロは聞く。3日後にアナニアという名のキリスト教徒が祈ると、目から鱗(うろこ)のような物が落ちてパウロは目が見えるようになる。パウロはキリスト教を受け入れ、その布教に努めるようになる。シリアにおけるキリスト教の歴史の古さを伝える記述である。また、これが「目から鱗」の語源でもある。

    もうひとつ、シリアのキリスト教の伝統の長さを伝える話を紹介しよう。2004年にメル・ギブソンが制作した『パッション』という映画が公開された。このイエスの処刑を描いた映画の話題のひとつは、使用された言語であった。出演者たちが古代の言葉を使ったからである。映画の中でローマ人はラテン語を、ユダヤ人たちはアラム語を使った。イエスもアラム語で語った。

    シリアの山間部には、このアラム語を使うキリスト教徒の村が残っている。イエスの話した言葉と同じ言葉を使う人々がシリアにいるわけだ。それくらいシリアのキリスト教は、そのルーツと直接につながっている。 そのキリスト教徒のコミュニティが、シリアの政治変動を不安な視線で見守っている。独裁のもたらす自由のない安定を支持してきた少数派は、独裁の崩壊に続くであろうイスラム化の嵐を恐れている。

    そして独裁から民主化への過程での内戦の発生を、もっと恐れている。歴史の大きなうねりに、少数派の人々も巻き込まれざるを得ないだろう。キリスト教徒たちが不安なまなざしでシリア情勢の展開を見守っている。

    独裁から民主化の流れの中で、今度は支持基盤だったキリスト教への迫害がおこるのだとしたら、それは悲劇の連鎖でしかない。
    結局は宗教間の軋轢の中でしか、われわれ人類は生きていや死していくしかないのか?
    複雑な思いである。

     

     
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      私は、アメリカの大学で神経科学を教えていますが、昨日同僚と食事に行ったとき、彼女はシリア系キリスト教徒で、5歳で両親とアメリカに来るまでシリアにいたそうです。彼女の親類はまだシリアにいて、今回の内戦の行方を非常に不安視していると聞き、「シリアのキリスト教徒」でグーグルして、このブログを読ませて頂きました.大変、勉強になりました.
      Takeo Watanabe (2012/10/04 2:02 AM)









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