スポットライト(BOOK SIDE STORY2018)

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2018.11.01 Thursday

敵討

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    JUGEMテーマ:日記・一般

     

    「蒼天見よ」は日本最後の仇討を描いた小説であることは記した。

    葉室麟に先行する形で小説に著した作家が吉村昭である。

    「敵討」(新潮文庫)という2編の仇討ちに材をとった小説集に収めれている。

    葉室麟の作品と一番異なる点は、吉村昭は史実に沿ってあたかもドキュメントというような感じで極力センチメントなる情緒を排して描き切っているところである。

    あとがきで著者自身、「敵討」などという個人と個人の問題などを小説にするなどとは思いもよらなかったと語っている。

    その背景には、ここで描かれている敵討が行われた歴史的な時代というものが色濃く反映している。

    「敵討」は幕末の水野忠邦の改革期の出来事であるということ、つまり単なる個人間の争いではなく、幕府内の政争が絡んでいることが挙げられる。

    そして「最後の仇討」は以前にも記した通り、明治6年の「仇討禁止令」発府に象徴される新しい価値観と仇討ちを善とする今までの考え方との相克の中で起きた出来事であり、その時代に生きる人々の複雑な心情を描いてみたかったということである。

    吉村昭は好きな作家のひとりである。

    一番好きなのは「長英逃亡」(新潮文庫)であり、長英の逃亡劇をハラハラドキドキしながら読み切ったことを懐かしく思い出した。


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