スポットライト(BOOK SIDE STORY2018)

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2018.10.29 Monday

戦国武士道物語「死處」 周五郎の傑作アンソロジー

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    JUGEMテーマ:日記・一般

    心境の変化というのは確かに訪れるものである。

    今まで、ロック一辺倒だった嗜好がクラシックに変わったこと。

    本に関しても、今年は9割以上が歴史時代小説を読んでいる。

    それも司馬遼太郎と山本周五郎に集中している。

    その要因は何だろうかと考えてみたのだが、人生も半ばを過ぎ、自分の人生を振り返るようになったことが挙げられる。

    今や未来を見据えるのではなく、改めて自分の「来し方」を見つめるようになった。

    そういう意味ではさきに挙げた二人の作家はその灯りをともす存在である。

    「坂の上の雲」のあと、いま山本周五郎の「死處」(講談社文庫)を読んでいる。

    山本周五郎の武士道物といわれる作品のアンソロジーである。

    一番の触れ込みは77年ぶりに発見された原稿である「死處」が収めれていることであろう。

    その「死處」と「城を守る者」はテーマや構成が酷似している。

    未発表のままとなる運命の「死處」の構想に愛着があったと想像することは難くない。

    我執を捨て、他人の無責任な誹謗中傷に耳を貸すことなく、主君や藩のために身命を賭して自分の果たすべく責任を全うする武士の心意気を著した作品である。

    この2作品のみならず収録されている作品すべてに周五郎の真髄というものが感じ取れる。

    特に自分が好きなのは「石ころ」である。

    武士にとって大切なことは兜首を挙げ、手柄を誇ることではなく、戦に勝つために目の前の敵を討つために全力を注ぐのみという多田新蔵の姿に素直に心うたれるのである。

    「青竹」の主人公、余呉源七郎のまっすぐなひたむきさもいい。

    この度、講談社が素晴らしいアンソロジーを編んでくれたことに望外の喜びを感じている。


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