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ながい坂

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    JUGEMテーマ:読書

     

    山本周五郎、最晩年の長編「ながい坂」(新潮文庫)を読了した。

    文庫本上下あわせて1100ページという物語である。

    名作「さぶ」同様に主人公である三浦主水正の人間形成物語である。

    山本周五郎の真髄ともいえる、夫婦愛や私利私欲を超えた大義の意味などが静謐な筆致で淡々と綴られていくという印象である。

    三浦主水庄が対峙するその時々の苦難や壁は大きいものだが、それに対してひるむことなく立ち向かう姿勢は、発表当時、多くのサラリーマンの共感を呼んだらしい。

    もともと、周五郎は徳川家康を描きたかったのだが、書き表すだけの時間と体力的な自信がないことを悟り、家康の姿を三浦主水正に投影させて描いたのである。

    「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し、急ぐべからず」

    この徳川家康の遺訓が物語の大きなテーマになっている。

     

    「人間のすることに、無駄なことは一つもない。」

    「眼に見えることだけを考えると、ばかげていたり徒労だと思えるものも、それを繰り返し、やり直し、積み重ねてゆくことで、人間でなければ出来ない大きな、いや、値打ちのある仕事が作り上げられるものだ・・・」

     

    読み終えた後、静かな感動が余韻として残る名作である。


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