<< レストラン=元気を回復させるスープ! | main | 東大寺の瓦 >>

与之助の花 圧倒的なスピード感

0

    JUGEMテーマ:読書

     

    「モノ」で読み解く世界史は食べ物でいえばデザート的な意味合いで、基本はずっと山本周五郎を読んでいる。

    「深川安楽亭」「日々平安」「与之助の花」とすべて短編集であるが読み進めてきた。

    これらの中での私のお気に入りは「与之助の花」である。

    まず、収められた作品のもつスピード感である。

    周五郎は読みやすい作家であるけれど、この短編集は特にその印象が強い。

    冒頭の「恋芙蓉」から始まり、「孤島」、「非常の剣」、タイトルになった「与之助の花」・・・

    ジャンルは違うがいずれも周五郎らしさに溢れた名作である。

    確かに内容的にこれらの作品と似た短編もあり、特に傑出するということはないが、読み手にとっては心落ち着くのである。

    それが「らしさ」であろう。

     

    中国との密貿易の不正を暴く「非常の剣」。

    主人公の弦八郎の活躍を鮮やかに描くこの作品の重要なファクターになっているのは弦八郎の叔父「棋兵衛」の何かにつけてこじつける諺である。

    「蛇を殺さんとすればその脳髄まで」そして「非情の剣は断固たる可し」

     

    まさに一気呵成の展開力そしてスピード感。

    快感である。

     

     


    コメント
    コメントする









    この記事のトラックバックURL
    トラックバック
    calendar
         12
    3456789
    10111213141516
    17181920212223
    24252627282930
    31      
    << March 2024 >>
    selected entries
    categories
    archives
    recent comment
    recent trackback
    links
    profile
    search this site.
    others
    mobile
    qrcode
    powered
    無料ブログ作成サービス JUGEM