スポットライト(BOOK SIDE STORY2018)

本や音楽を思いのままに紹介する。
それでも言葉にこだわり、思いを伝えたい・・・
そして思いの中に魂を込める。
虚飾を排し、嘘を捨て去る。

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2018.04.29 Sunday

その名さえとどめずに・・・

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    GWに入った。

    とは言っても暦通りの勤務なので、さして特別な計画や遠出をする予定はなく、静かに過ごしている。

    このブログを読んでくださる方には申し訳ないが、やはり山本周五郎を読んでいる。

    『一人ならじ』(新潮文庫)は個人的には周五郎の3本の指に入る短編集である。

    かつて、己の利を捨てて、藩や主君のために命を捨てて戦った無名の人々がいた。

     

    もののふの多くはその名さえとどめずに戦場の露と散っている。

    「その名さえとどめずに」

    武士にとって戦場へ臨むことは異常事ではない、改めて覚悟すべきことなどある筈はなかった。

    自分はつねづね「死にざま」ということを考えていた、潔く死ぬ決意こそもののふの面目だと信じていたが、死にざまなどを考えるのは寧ろ我執である、死にざまなどはどうでもよい、功名手柄が末のことだとすれば死にざまなども末の末だ、生も死も超えてひたむきに闘う、名をとどめずに戦場に屍をさらす、そこにこそ真の面目があるのだ。

    与八郎は、静かに一歩踏み出した。「楯輿」

     

    このほかにも真実の夫婦の愛について静かに物語る「柘榴」など名品ぞろいである。

     

    テレビをつければ「セクハラ」「強制ワイセツ」「不倫」の言葉がやかましく踊っている。

    共通項は我執。自分の欲望や利しか考えられない人間が増えているということだ。

    今の日本人に足りないのは「山本周五郎」が描いた人間の心根である。

    強くそう思う。

    だから私はひたすら読む。

     


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