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「ちいさこべ」「ひとごろし」 周五郎の名品を味わう
読書 / カーソン・ライダー 
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    4年に1度のスポーツの祭典である「オリンピック」に注目し、興奮・感動を味わいながらも、一方では読書も堪能している日々である。

    山本周五郎の作品を立て続けに2冊読み終えた。

    「ちいさこべ」「ひとごろし」(どちらも新潮文庫)である。

    短編集である。

    「ちいさこべ」収録の、タイトルにもなっている「ちいさこべ」。

    江戸を舞台に、大火事で両親を初め多くの大切なものを失いながらも、その逆境にめげずにけなげに生きる大工の若棟梁の心意気が読み手の心に爽やかに感動を与える内容である。

    昭和の時代には、こういう前向きに生きる家族の物語が小説や本でもいくつか描かれたものだが、現代ではほとんど皆無になってしまった。

    だからこそ、一層の読後感のよさが心に沁みる。

     

    「ひとごろし」は物騒なタイトルだが、バラエティ豊かな10篇が収められている。

    冒頭の「壺」はその道を究めるということはどういうことなのかを考えさせてくれる内容である。

    「人間の値打ちは身分によって定まるものではない、各自その道に奉ずる心、おのれのためではなく生きる道のために、身心をあげて奉る心、その心が人間の値打ちを決定するのだ、百姓は米を作るが、自分では多く稗麦を食べている、自分では食べないのになぜ艱難を凌いで米を作るか、それは米を作ることが百姓の道だからだ・・・」

     

    表題作「ひとごろし」の武芸の技をもたない侍が、どう腕達者な殺しのお尋ね者を追い詰めていくのか?

    その機転に思わず引き込まれる佳品である。

    また、綿密ともいえる裁定から導き出されるあざやかなオチの付け方が見事な「改訂御定法」など。

    周五郎の筆が冴える作品が多い。

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