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燃えよ剣 土方歳三とお雪
読書 / カーソン・ライダー 
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    JUGEMテーマ:読書

     

    司馬遼太郎をずっと読み続けている。

    読者アンケートなどでも必ず彼の著作の人気ランキングの上位に入る「燃えよ剣」である。

    新撰組副長の土方歳三の人生を描いた物語である。

    特に文庫本でいうところの上巻。多摩での生い立ちから京にて新撰組を立ち上げ、浪士をばったばったと斬り捨てる場面は、まさにエンタメ色の強い娯楽作品の趣を呈している。

    下巻に入ると、風格を帯びながらも戊辰戦争の最後まで「喧嘩師」としての己の存在意義を貫き通そうとする姿が描かれている。

    その中でも「お雪」という女性との交情のシーンがひときわ印象的である。

     

    一度も恋をしたことのない歳三が、唯一恋心を抱いた女性である。

    つい、抱きしめてしまう場面がある。

    他愛のない語らいの中で芽生えた恋情を止めることができず衝動的にである。

    そんなことはかつてなかったほど、歳三は冷徹なまでに自分の行動を御してきたにも関わらずである。

    そして、こう告げる。

    「あなたは私から心を奪った。」

    お雪は探す真似をふざけてしながらこう答える。

    「そのお心・・・・」「どこにございます?」

    「知らん」歳三は立ち上がった。

    「どこか、庭の紫陽花の花の根本にでもころがっているでしょう」

    雨中、歳三は出た。

    傘の中に、歳三は籠るような気持ちで、ひとり居る。お雪の残り香とともに歩いた。

     

    まるで映画を見ているような心に残る名場面である。

     

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