講談社児童文学新人賞佳作に選出された「15歳、ぬけがら」を読了した。
今や社会問題になっている児童の貧困を真正面からとり上げた異色作である。
主人公は中学3年の麻美。
事情があり,今や低所得者層が暮らす市内のアパートに母親と二人で住んでいる。
母親は心療内科に通い、働く意欲はなくほとんど寝て暮らしている。
時折、派手な化粧と出で立ちで夜の街に出ていく。
また、男をアパートに連れ込んではという状況。
そんな絶望的な日々を麻美は生きている。
夜のア一ケードで知り合った仲間達が万引や援助交際という非行に走る中、麻美は.これでいいのかと思いとどまる。
それは幼馴染みの翔の存在や幼い和馬との繋がりが辛うじて引き留めているのだ。
そして、学習支援塾「まなび〜」と出合う。
そこで得たものとは。
麻美が一歩ふみ出そうと決意するラストは清々しい。また、著者が公立学校に勤務していたということで、学校の中での麻美に対する級友のいじめなどの細かな部分の描き方もリアル感である。居場所を見つけられない子どもたちの心の中の寂寥感なども伝わってくる。
新人賞の「ラブリィ」以上にインパクトの強い読後感を残す作品であった。