LATEST ENTRIES
RECENT COMMENTS
RECENT TRACKBACK
ARCHIVES
CATEGORIES
OTHERS
SEARCH

ごはんぐるり
読書 / カーソン・ライダー 
0

    西加奈子の食に関するエッセイ「ごはんぐるり」(文春文庫)を楽しく読んだ。

    その中でも一番共感したのは「カイロの卵かけごはん」である。

     

    帰国してから、もう20年ほど経つが、実はカイロで食べたあの卵かけごはんほどおいしいものには、まだ出会えないでいる。

    あの時の私にあって、日本に住んでいる私にないもの。それは、「不自由さ」だろう。

    手間がかかつたり、何かが足りなかったり、だからこそ、一度の食事がとても美味しく有難く感じられたカイロの生活。

     

    この文章を読んでいて、深く頷いてしまう自分がいた。

     

    自分にも似たような経験がある。

    大学3年生の時、ワンダーフォーゲルクラブの夏合宿で南アルプスを縦走していた時のことだ。

    あれは確か荒川三山あたりか。

    何と台風10号の直撃を受けたのである。3000メートル付近である。

    当たり前だが、暴風雨の襲来である。テントは水浸し、雨漏りを防ぐためにテントの中で折り畳みの傘をさしていたのだが、一陣の風でなんと、金属の柄が中央部分からばきっと折れてしまった。そして、あろうことか、テントが飛ばされてしまったのである。

    幸いなことに、嵐の中をはい出て、テントを拾うことができたが、気温は真夏でも15度くらい。

    寒さで震え、水浸しのシュラフの中で最悪な一夜を過ごした。

    翌日は台風一過で見事な晴天であったのだが、自分たちがいた地点より下の三伏峠(標高2700メートル)当たりではさらにひどいことが起きていた。下山しようと思っていたグループが渡ろうとした橋が台風で破壊されて、川を渡れなくなってしまい立往生していたのである。無理に渡ろうとした女子大生が川に落ち、心臓まひで亡くなるという傷ましい事故も起きた。

    自分達の食糧も底をつき、予定の計画も中途で断念せざるを得なくなった。山岳警備隊の方の誘導で折れた大木を橋代わりに渡してもらい、這いつくばって川を多くの登山者はみな渡った。

    その前日のテントの中での会話は下山地 長野県松本に下りたら何を食べたいかでもちきりになつた。そして、不思議なことにみなが口にしたのが、あったかい握りたてのおにぎりと味噌汁であった。

     

    つまり、西加奈子も語っているように、人間は不自由な中にいると、決して贅沢なものではなく、当たり前のシンプルな食事を求めるものだということだ。だから、深く頷いてしまったのである。

    しかし、いざ松本に下りて、ひとたび食事処に入れば、結局は極上とんかつ定食を注文してしまうのも哀しいかな人間の性である。

    そんな昔のことをこのエッセイを読んで思い出してしまった。

     

    | comments(0) | trackbacks(0) |
    pagetop
    << 報われない人間は、永遠に報われない | main | ふくわらい >>
    スポンサーサイト
    - / スポンサードリンク
    0
      | - | - |
      pagetop









      url: http://grantgreen.jugem.jp/trackback/1269

      11
      --
      1
      2
      3
      4
      5
      6
      7
      8
      9
      10
      11
      12
      13
      14
      15
      16
      17
      18
      19
      20
      21
      22
      23
      24
      25
      26
      27
      28
      29
      30
      --
      >>
      <<
      --