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こうふく みどりの 
読書 / カーソン・ライダー 
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    JUGEMテーマ:読書

     

    いいなあと思う作家に出逢うと、恋をしたように読み漁ってしまう。

    その傾向は高校時代から続いている。

    いま、心を奪われているのは西加奈子である。

    今日は「こうふく みどりの」(小学館)を読了した。

    参った。

    何だろう?この圧倒的な魅力は。

    「こうふく あかの」「円卓」でも感じたが、登場人物の造形描写が実にうまい。ひとりひとりの存在感がくっきりとした輪郭をもって行間から立ち上ってくる。

    主人公である高校生「辰巳緑」を取り巻く家族の物語が軸になって展開する。

    西加奈子ワールド全開である。

    小気味よい大阪弁。緑を取り巻く人々の温かさ。

    その中に、はさまれる何やらミステリアスな手紙。

    この手紙の意味が明かされるのは、物語の最終盤。そして明らかになる衝撃の真実。

    こう書くと本格ミステリーのようであるが、そうではない。あくまでも家族の物語である。

    核となっているものは、大好きな人をわが物にしようと純粋に思う情念には狂気が孕んでいるということである。

    狂気ゆえに悲劇がともなう。

    しかし、どんな悲劇であろうとも、自分の目の前の道をおいそれと踏み外すことはできない。

    最後に、アントニオ猪木の引退試合での言葉が、象徴的に引用されている。

     

    この道をゆけば どうなるものか。

    危ぶむなかれ。

    危ぶめば、道はなし。

    踏み出せば、その一足が道となり、その一足が道となる。

    迷わず行けよ。行けば分かるさ。

     

    それぞれの登場人物の人生は一般的な幸福とは相いれないものかもしれない。

    むしろ、過酷さや厳しさが垣間見える人生である。

    だが、読み終えて希望の光が細くとも幽かに見えるような気がするのは、よろめきながらでも確かなある人を愛し、その人の愛を信じ支えにして生きようという力が感じられるからだ。そこに心揺さぶられるのである。

    西加奈子に参っている。

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