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この世界にアイは存在する
読書 / カーソン・ライダー 
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    JUGEMテーマ:読書

     

    西加奈子「i」(ポプラ社)を読んだ。

    先日、発表があった2017 本屋大賞にノミネートされていた作品である。

    惜しくも7位に甘んじたが、読み応えのある西加奈子らしい読後感のよい作品になっている。

    主人公のアイがシリア難民であり養子としてアメリカ人と日本人の養父母に引き取られてから、結婚をするまでの人生を描いている。

    裕福で何一つ不自由のない生活を送っていることに罪悪感をいだき、なぜ私は選ばれたのか。選ばれなかったその他多くの難民やシリアの内戦で亡くなった人々と何が違うのか。自分が属する血液の大木=ファミリーツリーをもたなかったアイが再三苛まれる「この世界にiは存在しません」という問いと懸命に向き合いながら、自己の存在理由を探る物語である。

     

    渦中の人しか苦しみを語ってはいけないなんてことはないと思う。勿論、興味本位や冷やかしで彼らの気持ちを踏みにじるべきではない。絶対に。でも、渦中にいなくても、その人たちのことを思って苦しんでいいと思う。その苦しみが広がって、知らなかった誰かが想像する余地になるのだと思う。渦中の苦しみを。それがどういうことなのか、想像でしかないけれど、それに実際の力はないかもしれないけれど、想像するってことは心を、想いを寄せることだと思う。

     

    いま、世界は米朝の関係だけでなく、この本にも取り上げられているシリアの情勢も含め、混迷を極めている。ある意味、絶望的な空気が静かに覆いつくそうとしている。だからこそ、この本が発しているメッセージは強靭なのだ。

    どんなに名もない小さないのちにも存在理由はある。そのことの意味を静かに重く受け止めたい。

     

    「この世界にアイは存在する。」

     

     

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