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ある風船の落下
作家 / カーソン・ライダー 
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    JUGEMテーマ:読書

     

    先日、ある飲み屋で飲んでいたら、そばに居合わせた女性と本の話になった。

    誰の本を読んでいるのかたずねてみたところ「西加奈子」という声がすぐに返ってきた。

    ここ数年、注目を浴びている作家だということは認識していたが、自分はまだ読んだことがなかった。

    表紙がポップな色彩であるという印象も心には強く残っていた。

    今日、図書館に行って早速読んでみた。 「炎上する君」(角川書店)である。

    短編集であるが、ひとつひとつの作品のもつ力に惹きつけられ、あっという間に読破してしてしまった。

    又吉直樹や中村文則が賞賛の言葉を寄せる作家だけのことはあると思った。

    どの作品も読後感がいい。

    希望の余韻が感じられる終わり方になっていて、落ち着いた気持ちになる。

    特に好きだったのは、単行本書下ろしの「ある風船の落下」である。

    溜め込んだストレスがガスとなり、体を膨張させる奇病「風船病」。

    症状の最終ステージは「SHOOT」とよばれ、ものすごい破壊力で地上を離れ、天に漂う運命が待っている。

    そして、徹底的に自我を捨てた人間は本物の風船という美しい球体になって天を漂い続けるのである。

    それは何者にも決して己を傷つけられないという意味においての人間の最終形である。

    だが・・・

     

    「ハナ、聞いて。僕の祖先は迫害を受けた。全くいわれのない迫害だ。そして僕は、この容貌と臆病な性格のせいで、小さいころから苛められてきた。僕は人間が、その悪意が怖かった。世界を憎んだ。みんなが僕を攻撃する、そんな世界を捨てて、ここに来た。でも、ハナ。聞いて。僕は君に会って、君と話をして、何かを信じて、求めることの幸せを思い出した。もし、裏切られたとしても、社会から中傷をくらっても、それでも、誰かを信じることの素晴らしさを、僕は思い出したんだ。君が好きだ。」

     

    「僕は風船にはなりたくない。等間隔のまま、傷つかない代わり、誰とも寄り添うことなく、たったひとりで浮き続ける風船にはなりたくない。」

    やられた。

    また一人。小説の力を感じさせてくれる作家に出会えたことを嬉しく思う。

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