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ブランケット・キャッツ 
作家 / カーソン・ライダー 
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    JUGEMテーマ:読書

     

    バイオリズムとは不思議なものである。ブログを読み返してみると昨年もこの時期、重松清の本を読んでいた。

    そして、今年もやはり重松清を読んでいる。

    「ブランケット・キャッツ」と「一人っ子同盟」である。

    「ブランケット・キャッツ」は2泊3日のレンタル猫と何かを喪失した人々との物語である。

    Amazonの書評などを読むと、低評価の感想の中には「マンネリ」という言葉が多く見られた。

    確かに、いつもの重松清がそこにいる。目新しさがあるわけではない。

    「流星ワゴン」「エイジ」「その日の前に」「きみの友達」あたりの作品と比べれば、小粒かもしれない。

    だが、確かに重松清でしか著せない世界が存在する。

    そこに安心するとともに、小説のおもしろさを堪能することができる。

    7編からなっているのだが、個人的には最後の「我が家の夢のブランケット・キャッツ」に一番、重松清らしさを感じた。

    書き出しがいい。

     

    大きなものを失ったかわりに、家族のささやかな夢をかなえることにした。

    猫を飼う。−いや、「飼う」ことは難しいから「借りる」。

     

    失った大きなものとは、父親の突然のリストラにともなう我が家そのもの。

     

    行く末の不安を紛らわすかのような父親の振る舞いに共感できない妻。苛立ちをかかえて反抗する娘。

    ここらへんの主人公の内面の描き方が実にうまい。

    レンタル猫は2泊3日の間に里心がつかないように、店で決められた毛布が与えられそれを取り上げることは一番、致命的なことになる。だからこそのブランケット・キャッツ。そのことと家族にとって致命的な事態とを関連づけて描く最後の場面での母親の言葉が胸にしみた。

    「猫は大切なものを失ったら、困ることしかできないけど、人間は違うの。大切なものがなくなっても、それを思い出にして、また新しい大切なものを見つけることができるし、勝手に見つけちゃうものなのよ、人間は」

    「困ることしかできない猫を困らせて、楽しい?」

    「で、あんたは人間なのに、ひたすら困ったり落ち込んだりするだけで いい?」

     

    重松清の筆の運びからじわっと温かなものが伝わってきた。それがマンネリであろうと私は好きだ。

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