「破戒」 深い感動が心をつかむ 

2017.03.05 Sunday 18:49
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    JUGEMテーマ:読書

     

    図書館にて貪るようにして一冊の本を読む耽った。

    島崎藤村「破戒」である。

    『父の与えた戒めはしみじみとこたえて来る。「隠せ」−実にそれは生死の問題である。』

     

    主人公の小学校教師 瀬川丑松は被差別部落出身である。「穢多」の身分を隠し通せという父の言葉が強い戒めとなり心を縛りつける。

    一方で、自分は一体何のために生まれ、何をしようとしているのかという根源的な問いを抱くようになる。

    やがて、遂に隠し通していた素性が仲間の卑劣な教員に暴かれ、人の口から口へと噂は流布し、丑松は追い詰めれていく・・・

     

    「非人」として社会から放逐されたくないと強く願いながら、穢多としてさまざまな恥や辱めを受けてきた父をはじめとする同族の歴史を思い返す丑松。そして、学問により身を立て、理想を掲げることの考えに至ったことを後悔する。

    放逐か、死か。そう自らに決断を迫る場面まで一気に読んだ。

     

    文庫本420ページの分量もあと70ページ足らずである。

     

    子どもたちからの人望も厚い丑松を何とか追い出そうとする名誉欲に取りつかれた校長や出世欲にかられた郡視学(今でいえば教育委員会)の倅の狡猾さもしっかり描かれている。

    そんな場面を読むと、学校という世界の排他性はあまり現代と違いはないのではないかと思ってしまう。

     

    瀬川丑松という一人の正義感にあふれる人間の内面の葛藤や相克に焦点をあて、虚飾的な表現を用いず、リアリズムに徹して描いたこの作品。深い感動が私の心をつかんで離さない。

    残り70ページを味わい尽くしたい。

     

     

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    2017.04.24 Monday 18:49
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