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快作!「家康、江戸を建てる」
読書 / カーソン・ライダー 
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    最近、特に注目している作家がいる。

    門井慶喜である。「銀河鉄道の父」で見事に直木賞を受賞した作家である。

    最新作である「新選組の料理人」についてはこのブログ上でも紹介したことがある。

    まず、題材への目の付け所がユニークであり、おもしろい。

    今日、読み終えた「家康、江戸を建てる」(祥伝社)にしてもそうである。

    1590年、秀吉から国替えを要求された家康。関八州240万石は名目とは違い、湿地だらけの場所であった。

    到底、人が暮らすにうえで好適とはいえない場所である。家臣団が猛反対をするなか、「関東に未来あり」と決断をし、類のない国家的プロジェクトに着手し、適材適所とばかりに人材を配し江戸のインフラ作りに取り組む家康。まさに快作である。

    描かれるのは、武をもって名高い将とは違い、名もなき職人たちのプライドや真摯な仕事にかける熱い思いである。

     

    特に興味深かったのは江戸城の天守を白無垢に染めた家康の着想とその問いをかけられた2代将軍秀忠のやりとりである。

    信長の安土城も秀吉の大阪城も天守閣の色は黒。

    黒とは土の色であり、死肉の貪る烏の群れの色であり、総じて戦争の色。

    白とは、平和の色。

    戦は終わったことを天下万民に知らしめる「平和宣言」。

    そう解釈する秀忠に「半分じゃな」と答える家康。

    ここら辺のやり取りは小説ゆえの面白みであろうが、なかなか説得力のある問答でもある。

    「白は生のみの色にあらず。死の色でもある。」

    「わしの今日あるのは、無数の死者のおかげなのじゃ。」

    70有余年の人生において、50年以上戦に身を投じ、人生は重荷を背負いて歩くが如しと遺した家康らしい、天守を白御影の墓石ととらえる言葉が胸に強く残る一冊である。

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    僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう
    読書 / カーソン・ライダー 
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      「僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう」(文春新書)を読んだ。

      各界の著名人が語る、何者でもなかった時代の話に思わず引き込まれた。

      今年のカンヌ映画祭でパルムドールを受賞した是枝裕和さんの「先入観が崩れたときに、世界を発見する」という話はとても心に響いた。

      そして、日本の霊長類研究の第一人者であり、京都大学の総長でもある山極壽一さんの大学生に向けてのメッセージにはとても共感した。

      「自分にしかできないことは何だろうと、思ったほうがいい。あなたというのは、この世にひとりしかいないんだから。自分だからこそできることを探してみてほしい。」「人間の一番重要な能力は諦めないということです。動物はできなかったら諦めちゃう。人間はなかなか諦めない。失敗しても失敗しても諦めない。だから、人間は空を飛べるようになったし、海中深く潜れるようになったし、様々な道具を発明し、人間の身体以上のことができるようになった。諦めなければ、いつかきっとできる。これは、我々人間がみんなもっている能力なので、使わない手はありません。」

       

      このメッセージは学生だけではなく、仕事に就いている私たち社会人にもあてはまる心強いエールである。

       

      その他にもサルの生態について語られら人間にある白目の果たす意味の大きさやゴリラのホモセクシャル行動など好奇心そそられる話題も多く、楽しめる一冊になっている。

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      「司馬遼太郎」で学ぶ日本史
      読書 / カーソン・ライダー 
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        JUGEMテーマ:読書

         

        NHK出版新書「司馬遼太郎」で学ぶ日本史を読んだ。

        特に印象深かったのは、明治期においてヨーロッパという名の憲法国家のブティックに日本が入り、どの服が自分に合うかと模索していたところ、フランスとの戦いに勝利をおさめたドイツ・プロイセンに目がとまった。そして、着てみたら、天皇や政府といった頭や上半身の大きな当時の日本の身の丈にジャストフィットした。そこからドイツ服を買って帰ろうということになった。

        勿論、イギリス服がよいと主張していた大隈重信や福沢諭吉の考えはしりぞけられ、伊藤博文らの意見が大勢を占めるに至った。

        そして、ドイツ式の作戦思想が後の日露戦争に有効であり、勝利を収めたことでいよいよ「ドイツへの傾斜」を助長させる結果になったという部分である。

        このことを司馬遼太郎は「この国のかたち」に書いている。

        しかし、明治期はまだ日本の軍人は自国を客観視し、他国と比較する能力を有していたと指摘する。

        結局、昭和期の軍人がひたすらに勝ち目のない戦争に没入していったのは、あたかもドイツ人になったかのような自国中心の、まわりに目を向けることのなかったその独善性にあったと述べている。

        そして、ただ一種類の文化を濃縮駐車し続ければ、薬物中毒になるのは必然と指摘している。

        ドイツという薬物注射の中での「統帥権」こそが日本という人体を蝕んでいった。

        やはり、この辺の語りは強い説得力をもって胸に迫るものがある。

        この新書の著者は「武士の家計簿」で評判をとった磯田道史氏である。

        司馬遼太郎が、昭和期の物語を書く代わりに「この国のかたち」に込めた思いを知ることができた。

        大変、興味深い一冊である。

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        新選組の料理人
        読書 / カーソン・ライダー 
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          門井慶喜の「新選組の料理人」(光文社)を一気読みした。

          新選組と言えば司馬遼太郎の「燃えよ剣」「新選組血風録」がその頂点を示すであろう。

          この小説は、ひょんなことから賄い方として、入隊をすすめられた菅沼鉢四郎の眼をとおして描かれた新選組の内側を描いた物語である。

          入隊したものの、気になるのは蛤御門の変で大火となった京から伏見へと逃げ延びた妻と子の安否。

          しかし、驚きの真実を目にすることになる。

          一方で、新選組に誘った隊士の原田左之助は妻をめとり、子をもうける。

          そのことによって左之助の内面がどう変化していくのかが、この物語の主軸であろう。

           

          新選組の隊士にとって、最も贅沢なことはいい女を抱くことでも、美味い酒を飲むことでもない。

          俗世の人が当たり前に望むことこそ、ただで成しているものこそがその贅沢なのである。

          だからこそ、家族をつくった左之助に対して、批判をしながらも心の裡では強い羨望の念がある。

          それが無用な諍いや葛藤を呼び起こす。

          その描き方がとてもうまい。思わず引き込まれる。

           

          最後の場面。剣の腕も立たず、臆病な鉢四郎が戦場の土塊となろうと決意する・・・。

          それは左之助の心境の変化と強いコントラストをなし、強く心に迫るものがある。

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          6時27分の電車に乗って、僕は本を読む
          読書 / カーソン・ライダー 
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            JUGEMテーマ:読書

             

            休みの日は「読書」に徹している。

            「読書」こそ最大の娯楽という思いは変わらない。

             

            「6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む」

            フランスの小説を読んだ。著者は、ジャン=ポール・ディディエローラン。

            短編で二度、ヘミングウェイ賞を受賞しているだけあって、物語を紡ぎあげていく構成の巧みさに感心した。

             

            廃棄になる本を集めて、リサイクルするために破壊し、ドロドロのヘドロ状にする仕事に就いているギレン・ヴィニョール。

            大きな事件が起こるわけでもなく、淡々と過ぎていく日々の中で、電車の中であっとランダムに選んだ廃棄処理から零れ落ちた本のページを読むことがヴィニョールの一日に彩を与える出来事であった。

            そんな中、電車の中に残されていたUSBメモリーを手に入れたことが彼の人生を大きく変えていく力となる。

            そのUSBメモリーに書かれていたこととは・・・

             

            ギレンの恋愛前夜の物語である。

             

            ノートに並べて書いた数字の一番下に「1」と書き加えた。「14,718」は恋の始まりにふさわしい数字かもしれない。

             

            この世界には、色という色をより鮮やかにできる、深刻なことを深刻でなくせる、寒い冬を暖かくできる、耐えがたいことを耐えられるようにできる、美しいものをより美しくでき、醜いものを少し美しくできる、そんな力を持った人がいると僕は知ったのです。

            つまり、僕の人生をより美しいものにできる人ということです。

            人生に変えられないことなど一つもありません。たとえば、「14,717」というつまらない数字だって、ちょっとした助けで美しく変えられるかもしれない。

             

            地味だけれど、読み終わった後に心に吹く風は暖かく柔らかい。そんな気持ちにさせてくれる小説である。

            登場人物一人一人の造形描写の輪郭も鮮やかである。

            素晴らしい作品である。

             

             

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            福家警部補の考察
            読書 / カーソン・ライダー 
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              ずっと読み浸っていた「山本周五郎」をはなれ、国内のミステリーを手に取った。

              大倉崇裕の倒叙ミステリーシリーズ最新刊「福家警部補の考察」である。

              倒叙ミステリーといえば、刑事コロンボが思い出される。

              原作及びテレビドラマが大好きで、DVDももっている。

              鉄壁とよばれるアリバイをどう崩していくのかが最大の読みどころである。

              4作品が収められている。

              読み易さは大倉崇裕の持ち味であろう。

              また主人公の一見すると警部補には見えない、寝ない女「福家」のキャラも立っている。

              個人的には、「東京駅発6時00分 のぞみ1号博多行き」が最後の謎解きのための仕掛けも含め一番楽しめた。

              気軽にミステリーを楽しみには適しているだろうが、謎解きの切れ味という面ではやや物足りなさも感じた。

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              うなる面白さ! 平城京のごみ図鑑
              読書 / カーソン・ライダー 
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                JUGEMテーマ:読書

                書店をぶらぶらする楽しみのひとつとして、思いがけずに面白い本に巡り合えるということがある。

                先日も、横浜の有隣堂でそういう経験をした。

                その本とは「平城京のごみ図鑑」(奈良文化財研究所 監修)である。

                特に、興味をそそられたのは「木簡」の果たしている役割についてである。

                「木簡」というと当時の税であった「調」=全国の特産品を奈良まで運ぶ際の荷札というイメージが強いのであるが、実は個人情報をカード化したものであったり、さらには指の関節の位置を点で記して、IDカードの役割も果たしていたりというのであるから「ははあ」とうなってしまった。

                また、何度も削って繰り返し使ったというリサイクル感覚であるとか、習字の練習に用いたとか、絵を描いたとかいろいろな使い方をしているところなど、ものを粗末に扱う現代人は学ぶべき点が多いと感じた。

                そして、最終的には現代のトイレットペーパー代わりともいえる「チュウギ」にまで変身させているのであるから、まさに恐れ入るほどの徹底ぶりに感心した。

                また有名な長屋王家の木簡からは犬や鶏を飼育するための部署が設けられており、それは子どもが担当しており、しっかり役目を果たせば米が支給されていたなど意外な事実を知ることができ、大満足の読書体験となった。

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                ながい坂
                読書 / カーソン・ライダー 
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                  JUGEMテーマ:読書

                   

                  山本周五郎、最晩年の長編「ながい坂」(新潮文庫)を読了した。

                  文庫本上下あわせて1100ページという物語である。

                  名作「さぶ」同様に主人公である三浦主水正の人間形成物語である。

                  山本周五郎の真髄ともいえる、夫婦愛や私利私欲を超えた大義の意味などが静謐な筆致で淡々と綴られていくという印象である。

                  三浦主水庄が対峙するその時々の苦難や壁は大きいものだが、それに対してひるむことなく立ち向かう姿勢は、発表当時、多くのサラリーマンの共感を呼んだらしい。

                  もともと、周五郎は徳川家康を描きたかったのだが、書き表すだけの時間と体力的な自信がないことを悟り、家康の姿を三浦主水正に投影させて描いたのである。

                  「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し、急ぐべからず」

                  この徳川家康の遺訓が物語の大きなテーマになっている。

                   

                  「人間のすることに、無駄なことは一つもない。」

                  「眼に見えることだけを考えると、ばかげていたり徒労だと思えるものも、それを繰り返し、やり直し、積み重ねてゆくことで、人間でなければ出来ない大きな、いや、値打ちのある仕事が作り上げられるものだ・・・」

                   

                  読み終えた後、静かな感動が余韻として残る名作である。

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                  与之助の花 圧倒的なスピード感
                  読書 / カーソン・ライダー 
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                    JUGEMテーマ:読書

                     

                    「モノ」で読み解く世界史は食べ物でいえばデザート的な意味合いで、基本はずっと山本周五郎を読んでいる。

                    「深川安楽亭」「日々平安」「与之助の花」とすべて短編集であるが読み進めてきた。

                    これらの中での私のお気に入りは「与之助の花」である。

                    まず、収められた作品のもつスピード感である。

                    周五郎は読みやすい作家であるけれど、この短編集は特にその印象が強い。

                    冒頭の「恋芙蓉」から始まり、「孤島」、「非常の剣」、タイトルになった「与之助の花」・・・

                    ジャンルは違うがいずれも周五郎らしさに溢れた名作である。

                    確かに内容的にこれらの作品と似た短編もあり、特に傑出するということはないが、読み手にとっては心落ち着くのである。

                    それが「らしさ」であろう。

                     

                    中国との密貿易の不正を暴く「非常の剣」。

                    主人公の弦八郎の活躍を鮮やかに描くこの作品の重要なファクターになっているのは弦八郎の叔父「棋兵衛」の何かにつけてこじつける諺である。

                    「蛇を殺さんとすればその脳髄まで」そして「非情の剣は断固たる可し」

                     

                    まさに一気呵成の展開力そしてスピード感。

                    快感である。

                     

                     

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                    レストラン=元気を回復させるスープ!
                    読書 / カーソン・ライダー 
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                      「モノ」で読み解く世界史 宮崎正勝(大和書房)を読んだ。

                      歴史好きには興味のある話が多く、一気読みした。

                      中でも、レストランの起こりについては印象に残った。

                      レストランとはフランス語で「元気を回復させる」という意味すら知らなかった。

                      1765年、パリにおいてブーランジェという人物が羊の肉の入った「レストラン」という名の活力をつけるスープを売り出したところ、大評判になった。

                      以降、この料理の名前が新しいタイプの料理店の名称になったのである。

                      そして、フランス革命の直前の1986年の法令において、正式に決定されたのである。

                      もともと、貴族の特権的な料理であったフランス料理が街に拡散していったのは、1989年のフランス革命において、国王ルイ16世が処刑されたことで貴族が特権を失い、多数抱えていた宮廷料理人たちが職を求めて、街に出ていったからである。

                      フランス革命がなければ、洗練されたフランス料理特有のソースの味は庶民の間には広まらなかったのである。

                      そして、コックが被る白い帽子も、実はお客が被っていた白い帽子をもとにしたというのだから驚きである。

                      「モノ」にまつわる意外な話はたまらなく面白い。

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