ブロムシュタットの指揮

2017.03.26 Sunday 19:13
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    JUGEMテーマ:音楽

     

    先ほどのブログとの関連であるが、ベートーヴェンの命日ということで、いま「運命」を聴いている。

    ベートーヴェン交響曲全集の中の一枚である。

    交響曲全集は数種類持っているが、今日、選んだのはヘルベルト・ブロムシュタット指揮のものである。

    シュターツカペレ・ドレスデンとの録音である。

    思えば、ベートーヴェンの全集を初めて買ったのがこの録音盤である。

    ブロムシュタットは大好きな指揮者の一人である。

    クレンペラーほどの堅牢さはないにしろ、骨格のしっかりした安定した指揮ぶりでオーケストラを牽引する力は格別である。

    無駄を削ぎ落した、クリアでありながらシャープに切れ込んでくる演奏が心地よい。

    日本とも馴染みが深く、N響の桂冠名誉指揮者の称号を受容されたのも記憶に新しい。

    アメリカ生まれのスウェーデン指揮者ということもあり、北欧の作曲家のレパートリーも積極的に取り入れている。

    世評が高いのはサンフランシスコ交響楽団を指揮したニールセン全集である。

    特に第4番「不滅」のティンパニの扱いは凄いの一言に尽きる。

    「不滅」の代表作という評価を不動のものにしている名演である。

    3月26日 楽聖 ベートーヴェンの命日

    2017.03.26 Sunday 17:36
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      JUGEMテーマ:音楽

       

      今日、3月26日はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの命日である。

      一年に数回、まさに熱病にかかるかの如く、無性にベートーヴェンを聴きたくなる時があるのであるが、今がまさにその時である。

       

      毎日、飲んだくれている父と病気がちな母をかかえ、少年時代から一家を支えなければならなかった彼。

      演奏家、作曲家としてまさにこれからという時期に発症した耳の病。

      それを根治するために飲んでいた薬のために侵された病気。彼の残された髪の毛から分かるのは、それは薬でも何でもなくもはや体を蝕む毒であったことが証明されている。

      毎日襲う激しい頭痛と腹痛。

      また、愛する女性とは結ばれず、常にお金のことでも悩まされていた。

      彼の肖像画に見られる厳しい表情はあらゆる苦悩や苦痛を表したものではないかと思う。

      肺炎と腸カタルで倒れ、危篤状態の彼に届けられた出版社の一人から届けられた「葡萄酒」。

      「残念だね。もう遅いよ。」

      ベートーヴェンの最期の言葉となった。

       

      苦闘の人生に中でつくりだした不滅の音楽たち。

      たとえば、交響曲5番「運命」。圧巻は第3楽章から第4楽章。

      ハ短調からハ長調へと駆け抜けていく快感。高揚感。

      音楽の至福が凝縮されている。

       

      病気に苦しんでいる私に一筋の光を与えてくれた音楽がここにある。

       

       

      行人 

      2017.03.20 Monday 22:05
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        JUGEMテーマ:読書

         

        夏目漱石「行人」を一気呵成に読んだ。

        470ページに及ぶ長尺な小説である。

        実におもしろかった。

        「一郎」という主人公は、漱石が描いた登場人物の中でも際立っている。

        その際立ち方とは、最も精神的に危うい人間であるということである。

        頭脳は明晰ではあるが、何事にも理が立ち過ぎるので、猜疑心が強く完璧を求めることの理想とそうでない現実の相克に心の中で打ち震え、身動きがとれない状況で日々を生きている。

        とりわけ、心に抱く結婚観は絶望的に暗い。

        「どんな人のところに行こうと、嫁に行けば、女は夫のために邪になるのだ。そういう僕が既に僕の妻をどのくらい悪くしたか分からない。幸福は嫁に行って天真を損なわれた女からは要求できるもんじゃないよ。」

        この言葉に表れているように、家族に中でもとりわけ、妻である「直」に対しては心を許すことはなく、情が交わることはない。

        時にはひどい暴力も振るう。

        そして、一郎の精神的な危うさが端的に表れているのが、妻の貞節を確かめるために弟の二郎に、「二人で一晩宿泊して来いと依頼する場面」である。ここまでくるとサイコパス的な色彩も帯びてくる。

        そして、期せずして嵐の番に和歌山のおんぼろ旅館に宿泊せざるを得ない状況が生まれるのであるが、この場面などはその描写に緊張感がみなぎると同時に、妻である「直」のひとつひとつの二郎に対する言動が妙になまめましく響いてくるという、得もいわれぬ小説としての魅力を放っている。サスペンスフルでありながらも甘美。そして、「何か、とんでもないことが起きるのではないか?」という刺激。流石は漱石である。

        しかし、何も起こらない。起こらないのだが、起きたかの如くその話には決して誰もふれることができないという心理劇がその後も続く・・・

        いよいよ終盤。家族から見て明らかに精神に変調を来たしたと思われる一郎を旅に連れ出すのが同僚のHである。Hの役割はさしずめ精神カウンセラーである。物語は一郎の唯一の理解者であるHの手紙で終わる。

        「あなたがたは兄さんがはたの者を不愉快にするといって、気の毒な兄さんに多少、非難の意味を持たせているようですが、自分が幸福でないものに、他を幸福にする力などあるはずがありません。雲で包まれている太陽に、なぜ暖かい光を与えないかと迫るのは迫る方が無理でしょう。」

        「行人」は煎じ詰めれば狂気の話である。それは、一郎のみならず、結婚を反故にされ盲目になった女や二郎の友人の三沢に迫る悲惨な結婚生活を経験し精神を病んだ女性の話を含めてである。この物語の大きな軸になっている。

        物語の全体像は暗く不気味である。だが、幽かな救いににた余韻が漂うのは、最後のHのようにその狂気の根源を理解しようという人の姿が描かれているからであろう。

        個人的には漱石の作品の中では一番好きである。

        WALK THE MOON

        2017.03.19 Sunday 22:17
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          JUGEMテーマ:音楽

           

          たまたまi TUNESを試聴していたら、何やら80年代風のロックを彷彿させるパワーポップを見つけた。

          アメリカのバンド WALK THE MOONである。

          バンド名の由来はポリスの名曲「Walking on the moon」である。

          日本での認知はいまいちだが、本国ではベスト10にランクするヒット曲もあり、注目株であるようだ。

          基本的にアッパーチューンが多く、乗りがよい。

          春先にはうってつけの楽曲が多い。

          早速、LINEのホームナンバーに「SIDE KICK」を選んだ。

          懐かしさと新しさが奇妙に混ざり合ったナンバーが心地よい。

          彼岸過迄 漱石の信念をかけた作品

          2017.03.19 Sunday 18:31
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            JUGEMテーマ:読書

             

            夏目漱石の後期三部作の幕開けといわれるのが「彼岸過迄」である。

            名作「門」を記してから1年半の年月が流れた。

            その間に漱石は瀕死の大病を患い、娘を失い、漱石を朝日新聞社に引っ張った朋友が去ったことを受けての辞表提出など。

            彼の人生を大きく揺るがす事件が続いたのである。

            それゆえか、序文にしたためられた再出発にあたっての漱石の思いは、ストレートに心に響くものがある。

            「ただ、自分は自分であるという信念をもっている。そうして、自分が自分である以上は、自然派でなかろうが、象徴派でなかろうが、乃至ネオのつく浪漫派でなかろうが全く構わないつもりである。」

            「自分はすべて文壇に濫用される空疎な流行語を借りて自分の作物の商標としたくない。ただ自分らしいものが書きたいだけである。」

             

            そう言う信念のもと記した作品が面白くないわけがない。

             

            この作品の特徴は敬太郎という人物の見聞きした一筋縄で結えない登場人物の心の内面を照らした写生文である。

            大きな軸はお互いに惹かれ合あいながら、決してひとつにならない須永市蔵と千代子の心情のずれである。

            そして、市蔵の心に影を差す事実が語られるのは、最終盤の叔父である「松本の話」のなかである。

            「市蔵の太陽は、彼の生まれた日から既に曇っていた。」

             

            「門」でもそうだが、なぜそうなのか? 何が一体あったのか? そこに至る理由が語られるまでの読者を惹きつける筆の磁力に恐れ入るばかりだ。ゆえに、漱石は時代を越えて色褪せない作家なのであろう。

            しかも、その理由を語る文章が「市蔵の太陽は、彼の生まれた日から既に曇っていた。」である。

            巧すぎる。

            「彼岸過迄」。不思議な余韻が残る作品である。私は好きだ。

            「ティンパニ・バトル」 ニールセンの交響曲4番「不滅」

            2017.03.13 Monday 18:56
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              JUGEMテーマ:音楽

              デンマークの国民的作曲家であるニールセンの交響曲全集を購入した。

              指揮は飛ぶ鳥を落とす勢いのあるパーヴィ・ヤルヴィである。

              一番有名なのが俗に「ティンパニ・バトル」ともいわれる第4番「不滅」である。

              個人的にも一番好きである。

              親しみやすいメロディもそうであるが、やはりコーダの左右のティンパニの掛け合いは爽快ですらある。

              第5番での小太鼓の扱いもそうだが、ニールセンの打楽器への思い入れの強さを感じる。

              交響曲全集を買って気づいたのだが、1番・2番もなかなか捨てがたい魅力がある。

              1番などは調性もはっきりしており、古典的な作風ではあるが「交響曲を書こう」というニールセンの新鮮な思いが伝わってくる。

              決して派手さはないが、魅力的な作曲家である。

              我が人生における一冊 破戒

              2017.03.11 Saturday 21:51
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                「破戒」を読み終えて数日経ったのだが、その余韻は心の中に残っている。

                今は、必ず鞄の中に入れて持ち歩いている。

                 

                丑松が「穢多」であることを自ら告白することを決意する場面。

                 

                「思えば、今までの生涯は偽りの生涯であった。自分で自分を欺いていた。ああー何を思い。何を煩う。「我は穢多なり」と男らしく社会に告白するがよいではないか。こう蓮太郎の死が丑松に教えたのである。」

                「どうせ最早、今までの自分は死んだものだ。恋も捨てた、名も捨てた。−ああ多くの青年が寝食を忘れるほどにあこがれている現世の歓楽、それも穢多の身には何の用があろう。」

                いよいよ明日は学校へ行って告白しよう。

                 

                何度読んでも心が打ちふるえる。

                 

                そして、アメリカのテキサスに旅立つ前に明かされる志保子の丑松への思い。

                離別の最後のシーン。

                それらが相まって深い感動が静かに降り積もる雪のように心の中に堆積していく。

                 

                「破戒」

                我が人生における一冊となる本である。

                「破戒」 深い感動が心をつかむ 

                2017.03.05 Sunday 18:49
                0

                  JUGEMテーマ:読書

                   

                  図書館にて貪るようにして一冊の本を読む耽った。

                  島崎藤村「破戒」である。

                  『父の与えた戒めはしみじみとこたえて来る。「隠せ」−実にそれは生死の問題である。』

                   

                  主人公の小学校教師 瀬川丑松は被差別部落出身である。「穢多」の身分を隠し通せという父の言葉が強い戒めとなり心を縛りつける。

                  一方で、自分は一体何のために生まれ、何をしようとしているのかという根源的な問いを抱くようになる。

                  やがて、遂に隠し通していた素性が仲間の卑劣な教員に暴かれ、人の口から口へと噂は流布し、丑松は追い詰めれていく・・・

                   

                  「非人」として社会から放逐されたくないと強く願いながら、穢多としてさまざまな恥や辱めを受けてきた父をはじめとする同族の歴史を思い返す丑松。そして、学問により身を立て、理想を掲げることの考えに至ったことを後悔する。

                  放逐か、死か。そう自らに決断を迫る場面まで一気に読んだ。

                   

                  文庫本420ページの分量もあと70ページ足らずである。

                   

                  子どもたちからの人望も厚い丑松を何とか追い出そうとする名誉欲に取りつかれた校長や出世欲にかられた郡視学(今でいえば教育委員会)の倅の狡猾さもしっかり描かれている。

                  そんな場面を読むと、学校という世界の排他性はあまり現代と違いはないのではないかと思ってしまう。

                   

                  瀬川丑松という一人の正義感にあふれる人間の内面の葛藤や相克に焦点をあて、虚飾的な表現を用いず、リアリズムに徹して描いたこの作品。深い感動が私の心をつかんで離さない。

                  残り70ページを味わい尽くしたい。

                   

                   

                  ブログ書籍化 第4弾に向けて

                  2017.03.02 Thursday 23:27
                  0

                    JUGEMテーマ:日記・一般

                     

                    2年ぶりに自分のブログの記事を書籍化しようと思いPDFを依頼したところ、送られてきた内容を見て愕然としたのは、2年間の記事でたった150ページ足らずであるということである。

                    去年のスランプが影響しているといえばそれまでであるが、何とも情けない気持ちになってしまった。

                    とはいっても前回、復活の第3弾と掲げて書籍にした記事は3年以上かけてのものであるから、一概にペースが落ちたというわけではない。

                    このブロブの原点である「本の発信」という見地からすれば、今の方が読書量は増えており、借り物ではない自分の言葉による発信はできているという自負はある。

                    ただ、今の状況で書籍化するのは時期尚早であると判断した。

                    アクセス数10000が今のところの大きな目標である。

                    それを達成してから書籍化を考えてみたい。

                     

                    そのためには地道に読書を続けていくだけである。近道はない。

                    現在読んでいるのは NHK出版の「鉄棒する漱石、ハイジャンプの安吾」である。

                    これがまた面白い内容である。

                    漱石の自伝的小説 道草を読む

                    2017.03.01 Wednesday 21:48
                    0

                      今日から3月のスタート。

                      しょっぱなから漱石である。

                      死の前年に発表した自伝的色彩の強い「道草」を読了した。

                      物語は暗い。ユーモアの欠片もない。

                      物語の軸は、久しぶりに再会を果たした養父から執拗に借金を迫れながらも、縁を絶ち切れない主人公の苦悩であり、ヒステリーをもつ妻とのかみ合わない気持ちのすれ違いである。

                      だが、おもしろい。物語に惹きつけられるのである。

                      それはなぜだろうと考えた時、自分の現在の年齢がこの小説を表した夏目漱石の年齢と近いということや心情的に共感できる部分が少なからずあるということに尽きる。

                      50過ぎの男は面と向かって優しさを妻や子に伝えられないのである。そうではない男性も多くいるだろうが、少なくとも私は苦手である。

                      だから、漱石の描く主人公の心の中の葛藤が痛いほど解る。自分で不人情ではないかと思いながらも、妻や子供に対して優しい言葉ひとつもかけられない頑固さ。その反面、妻からは優しい言葉をかけてほしいと願っている矛盾。

                      そういう部分を実に克明に描き出しているところが漱石の凄さである。

                      これで今年に入って漱石を8作連続で読破したことになる。

                      書店に立ち寄ると村上春樹の新作など、私の心に訴えかけてくる新刊本が多く並んでいるのであるが、つい漱石の文庫本に手が伸びてしまうのである。

                      私の中の漱石ブームはまだ続きそうである。


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