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娯楽痛快作の決定版 「尻啖え孫市」
読書 / カーソン・ライダー 
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    いやはや面白い。司馬遼太郎の今まで自分が読んできた作品の中で、娯楽性という観点からすれば一番、痛快な作品である。

    「尻啖え孫市」である。戦国時代 日本最強の鉄砲集団といわれた紀州 雑賀衆を率いた雑賀孫市と天下取りをめざす織田信長との戦いを主軸にすえた物語である。

    雑賀孫市についての歴史的な資料が少ないことが逆に幸いして、司馬遼太郎は筆をふるいその何物にも縛られない、天衣無縫ともいえる天才的戦術士である孫市の人物造形を魅力たっぷりに描き切っている。

    織田信長が天下を統一していく過程の中で、一番手を焼き、「魔王」ともまで言わしめた討滅の執念を燃やしたのが仏教徒=一向宗であった。

    もともとは法然が興し、親鸞が切り開いた一大宗教=浄土真宗である。

    ただし、親鸞自身は功利を徹底的に排し、弟子もとらず己のみの行き着く先の浄土をめざして、まさしく求道者のごとく修行をし続けたのである。当然の如く教団という考え方にも反対の立場である。しかし、戦国期の一向宗(本願寺派)は現世利益や功利主義を利用した思想的な「山師」的な役目を担っている。

    「進むは極楽、退くは地獄」。そう教団に教えられた門徒は、戦に勇敢に赴いた。そもそもの仏の考え方すれば悪法である。

    孫市率いる雑賀衆も根強い一向宗門徒であった。

    そんな中、首領の孫市だけが、宗教の力に寄りかかろうとしないのである。

    己の仏、菩薩とは問われ、「生身のおなご」とこたえる天真爛漫な性格ゆえ、政治的なことにはまるで興味はもてない。

    ただ単に戦が好きな男であり、ひとたび戦うと決意すれば、用意周到かつ奇想独創ともいえる戦法で相手を攪乱殲滅する。

    その明快さが読んでいて心地よいのである。

    しかし、あの信長をここまで戦いで追い詰めたはこの雑賀孫市だけであろう。

    単なる7万石を率いている紀州は雑賀の地侍の首領である。

    織田信長は孫市に、まさに「尻でも啖え」と痛烈な一撃をくらわされたのである。

    「尻啖え」とは古来、勇気あるものが使う特別な日本語である。

    また、この小説において華を添えているのが、妻になる小みちの存在である。鉄砲伝来の種子島時尭の弟 時次の落胤ということで紀州雑賀党の女神として盟主に奉られるのであるが、美貌だけでなく知己に長け、また女性としてのかわいらしさにも溢れている。

    女好きの孫市でさえ小みちに恥じらいを感じる言葉や素振りが読んでいてほほえましくもあり楽しい。

    一気に上下を読んでしまった。久しぶりに「えっ。もう終わり」と感じるくらい、面白い本である。

    時代歴史小説が苦手な人にこそ読んでほしい傑作である。

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    戦の国
    読書 / カーソン・ライダー 
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      マイブームは歴史時代小説である。

      司馬遼太郎に感化され、葉室麟、そして冲方丁の「戦の国」を読んだ。

      冲方丁は初読の作家である。

      戦国期を生きた7人の武将に焦点をあててタイトル通り「戦い」に特化した連作小説集である。

      戦いについての考え方、価値観が描かれており、興味深かった。

      特に今まで、印象の薄かった大阪・冬の陣、夏の陣での豊臣秀頼について描かれている連作集最後に収められている「黄金児」が心に強く残った。

       

      家康に追い詰められ、次第に秀頼陣営が孤立させられる状況の中で、秀頼が将兵たちに呼びかける場面がある。

      「関ケ原以来、主家を失い、仕官の道を閉ざされ、徳川家の天下に不満を抱く者たちがいる。日ノ本六十六ヵ国に散らばる、まつろわぬ勇士達をこの大阪城に呼び集めよ。」

      相対する家康のみならず直近の武士たちにのも無為の策と思われたこの秀頼の呼びかけ。

      しかし、結果は何と3万を超える浪人衆を結集させた。

      つまり、上杉謙信が四宝とみなした兵・財・大義・信仰こそ、豊臣秀頼は有していたのである。

      最終的には約10万近い兵士が集まることになる。

      この神懸かり的な秀頼の威信について家康は判断を見誤ることになった。

       

      そして、戦は膠着状態に入り、家康が和睦案を提出するのであるが、この和睦案こそが大阪城を攻撃する突破口となっていくのである・・・

      秀頼もみすみす和睦案を受け入れる姿勢はとっていない。

      期せずして起こる最終決戦の備えていくのである。

      このあたりの両者の駆け引きが見事に描かれており、非常におもしろく小説を読み味わうことができた。

      「神生りて 下剋上 已む」

      秀頼 最後の書状である。

       

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      気分はブラームス セレナードを聴く
      音楽 / カーソン・ライダー 
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        JUGEMテーマ:音楽

         

        気分はブラームス。

        翳りを帯びながらも静かにそして奥深く心に響く音を欲している。

        いまさっきまでFMのPOP チャートカウントダウンを聴いていたのだが、軒並み聴いたことのあるような、また一聴して区別のつきにくいダンスチューンが多い。つまりアーチスト個としての存在感をあまり感じないのである。

        個性的でいいと思うのは圧倒的な歌唱力をもつサム・スミスくらいである。

         

        そこへいくとやはりクラシックの巨人たちの音楽は色褪せない。

        バーンスタイン若かりし頃のブラームスの交響曲第1番とセレナード第2番である。

        交響曲第1番に関しては以前にもこのブログ上でその魅力については記したし、数多のCDの中でも傑出して多い一枚である。

        しかし、ここにきて魅力を再確認したのはセレナードの方である。

        昨日、横浜のタワーレコードに行ったのだが、セレナードは皆無の状態である。

        傑作交響曲を書き表す前の習作的な意味合いが強いことは確かであるが、決して聞き劣りのするものではない。

        第1番などは、その牧歌的な音の色調はブラームスの意外な面を知るに足る側面をもっているし、第2番はバイオリンがなく、ヴィオラが合奏を牽引していく役目を担っている。それが木管楽器を前面に引き出す役目を果たしており、非常に柔らかく温かみを感じさせている。

         

        今まで、気づかなかったブラームスのよさに触れることができた喜びを味わっている。

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        Sufing With The Alien
        音楽 / カーソン・ライダー 
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          JUGEMテーマ:音楽

           

          今年の目標についてである。

          この年になると、健康第一が目標になってくるのだが、それだけでは味気ない気もするので少し考えてみた。

          小さなことでもいいので、新しいこととの出会いを探していきたいということである。

          たとえば、音楽。

          今、聴いているのはジョー・サトリアーニ「Sufing With The Alien」なのだが、あまりギターのインストものというのは聴いていない。ジェフ・ベックくらいなものである。

          聴くジャンルという点では稀有な部類である。

          しかし、これがいいのだ。

          スティーブ・ヴァイやカーク・ハメットの師匠であるということからもテクニックは言うまでもなく、楽曲の質も高い。

          1987年のセカンドである。

          今まで、聴いてこなかったことが不思議な位に好きなサウンドである。

          サトリアーニといえば新譜がつい先日出たばかりで、BAY FMのPOWER ROCK TODAYでもかかっていた。

          脳髄を直接刺激する尖がった音が実にスリリングで魅力的である。

          特に「SATCH BOOGIE」がたまらない。

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          ラジオで聴く朗読番組 その問題点
          ラジオ / カーソン・ライダー 
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            JUGEMテーマ:日記・一般

             

            ラジオを聴くことが好きだ。今はスマホがあればどこでもよい音質で聴けるのでとても便利である。

            「スマラー」というらしい。

            基本的にはFMでの音楽中心の番組が主となる。

             

            先日、興味があったので今はまりにはまっている司馬遼太郎の朗読番組を聴いてみた。

            NHK FMでの「最後の将軍 徳川慶喜」である。

            読み手はアナウンサーとしては重鎮ともいえるNHKの松平氏である。

            しばらく聴いていたのだが、全く内容が頭に入ってこないのである。

            自分で読んでいた時の内容の面白さが伝わってこない。

            その理由は、言葉の難しさである。

            一聴して、何と語っているのか分からないまま、どんどん進んでいくために物語の展開が理解できないのである。

            つまらないので消した。

             

            漢字が意味を伝える文字であることの意味の大きさを改めて痛感した。

            特に時代歴史小説にラジオでの朗読は適さない。

            自分で静かに文字に目を凝らし、ページをめくっていくよさにしか読書の醍醐味はないのであろう。

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            天翔ける
            読書 / カーソン・ライダー 
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              先日亡くなった直木賞作家 葉室麟「天翔ける」(角川書店)を読んだ。

              主人公は福井藩主 松平春嶽である。

              賢候のひとりであり、司馬遼太郎の幕末物の作品にも度々登場する人物でもある。

              学校では習わない日本史の側面をみるような思いを強くした。

              たとえば、松平春嶽と坂本竜馬のつながりである。

              竜馬の有名な言葉として「日本を今一度洗濯致し申し候」というものがある。

               

              坂本龍馬が、勝海舟に依頼されて、福井藩に神戸につくるための海軍操練所の資金繰りを頼みに行った際のことである。

              話の流れの中で、攘夷派に対抗する手段として福井藩が挙兵上洛するという考えに対して意見を述べた。

              そして、意見を交わす中で懐刀であった横井小楠と意気投合したのである。

              実は横井小楠という人物の考え方そのものが、日本国の国是となる「五箇条の御誓文」の考えの骨子となるのであるが、あまり知られていない。つまり、五箇条の御誓文というのは松平春嶽が思い描いたいた新政府の構想という見方もできる。

               

              坂本竜馬にしてみれば、福井藩に信頼されたということで大きな法螺を吹きたい気分にさせたのであろう。

              それがさきの言葉である。

               

              一番、強く心に響いたのは、小楠が春嶽に「破私立公」の旗を掲げるように具申する場面である。

              攘夷派と幕府が対立し、長州、薩摩が主役争いを演じ、まさに混迷を極めている際の言葉である。

              「私を捨て、公に立つ者だけがこの国の将来を切り開ける存じます。正しき道を歩む者は必ずやこの世での役目を果たせると存じます。」

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              失敗のススメ 林部智史の言葉
              言葉 / カーソン・ライダー 
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                JUGEMテーマ:日記・一般

                 

                昨日は成人式であった。

                FM放送でも新成人に向けてのプログラムがいくつか組まれていた。

                その中のひとつがNHK FMの「失敗のススメ」である。

                功を遂げたスポーツマンや歌手などが自分の失敗体験を通して、そこから得られたメッセージを発信するという内容であった。

                私の心に響いたのは歌手 林部智史の言葉であった。

                林部さんといえば、テレビ東京の人気番組であるカラオケバトルで100点を連発し、年間チャンピオンに2年連続で輝いた美声の持ち主であり、それをきっかけにしてメジャーデビューも果たした。現在、その歌声を聴いた人たちから「泣きの貴公子」などといわれている。

                 

                彼が語った失敗のいくつかは自分自身とも重なるものがあった。

                山形の文武両道の名門校の入学試験に落ち、1年間の浪人生活。

                念願かなって1年後に入学しプロをめざしてバスケットボールに励むも抜きんでてセンスを感じさせる仲間のプレーに劣等感を感じ挫折。

                将来の目標を見失った彼に、母親が進めたのは看護学校への進学。

                しかし、自分のやりたいこととの相克に苦しみ、4か月の引きこもり。原因不明の38度以上の熱が1か月も続き、下された病名は「鬱病」。

                気力を失った彼に沖縄にいる姉から救いの連絡。

                知る者のいない沖縄での生活の中で、人間としての当たり前の生活のリズムを取りもどしていく。そして、全国のリゾートホテルを住み込みながらバイト生活を続けている途中で、同じ挫折を経験した仲間から「林部くんはいい声してるよ。」とほめてもらうことで、歌への自信を深めていく。そして、憧れのエグザイルのATSUSIも入っていた音楽アカデミーという専門学校に進むことを決意する。

                しかし、お金はなく、新聞配達をしながら奨学金を得る道を見つける。

                そして、首席で卒業。だが、どこのレコード会社からも歌手デビューへの声はかからない。所詮、デビューできる人間は強い運をもっている人間だけなのかと夢を断ち切ろうと決めていた時に、かけられた言葉。

                「林部くんの声を待っている歌は必ずある。」

                そして、100回以上のオーディションに落ちるなかで、やっとつかんだカラオケバトル出場。そして、100点の快挙。優勝。

                「迷いがあるうちは続けたほうがいい。」

                彼が最後に語ったこの言葉は、実に深く、重い。

                 

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                福岡FBS放送 発見らくちゃく
                テレビ / カーソン・ライダー 
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                  JUGEMテーマ:日記・一般

                   

                  GYAOでご当地テレビというコーナーがある。

                  その中でも一番のお気に入りなのが福岡FBS放送の「発見らくちゃく」という番組である。

                  一言でいえば、視聴者の願いを叶える番組である。

                  依頼は恋愛に関するものが多い。

                  特に、一途に思いを抱いていた異性に告白したいという内容は見ていてほのぼのとしたものを感じる。

                  こういう番組は横浜など大都会のキー局ではほとんど見なくなってしまった。

                  そして、今日は故郷に帰りたいが、帰れぬという夢破れ挫折中途の青年の依頼であった。

                  それは一念発起するために、高校時代に打ち込んだ野球でホームランを打つために久しぶりに故郷に帰るという内容であった。

                  錦を飾るために故郷はあるのではなく、どんなときであっても、いつでも帰れる場所であることを見ていて改めて感じた。

                  私の生まれ故郷は島根の石見である。

                  墓はあるが、祖父母は亡くなったため、ほとんど帰る機会を失ってしまった。

                  中学から高校時代を過ごしたのは埼玉の浦和であるが、故郷というものとは少し違う。

                  すると自分がいつでも帰れる場所とはどこかと考えた時に、いま住んでいる我が家が一番しっくりくる。

                  人生において、数度の引っ越しを繰り返してきたが、一番長く生きて生活している場所は現在の我が家である。

                  小さなマンションではあるが、自分の人生の全てが凝縮され詰まっている。

                  よいことも、悲しいことも、苦しいことも、笑い声も・・・

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                  2018年読み初め 胡蝶の夢
                  雑記 / カーソン・ライダー 
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                    JUGEMテーマ:日記・一般

                    2018年初書き込みである。

                    あと一週間で誕生日を迎える。57回目である。

                    特別な感慨はないが、退職後の人生に思いをめぐらせるようにはなってきた。

                    光陰矢の如しである。

                    だからといって、若い頃に戻りたいとか、昔はよかったなどと思うことは一切ない。

                    何故なら、今が人生史上で最も本を読んでいるし、好きなことが多くなり充実しているからである。

                    今年の読書初めは司馬遼太郎「胡蝶の夢」である。

                    文庫本でいえば4巻という大長編である。いま、4巻目の半分を読み終えた。

                    時代は幕末期。オランダの医学を通じて、徳川260年の鎖国体制の強固な礎ともいえる「身分差別制度」からの転換を夢に見、実践を図った医師 松本良順を軸とする物語である。

                    個人的には司馬遼太郎は戦国期よりも幕末期の物語が一番おもしろいと思っている。

                    その期待にたがわぬ内容である。

                    以前から吉村昭の名著「冬の鷹」などを通じて、蘭学に傾注し解体新書を表した前野良沢や杉田玄白の物語に心惹かれるものがあった。

                    時代的にはそれよりかなり後ではあるが、やはり興味深いものがあった。

                    我が国の西洋医学の発展に大きな影響を与えた国はまぎれもなくオランダである。

                    そのオランダのポンぺという軍医官に良順は心から心服する。

                    ポンぺが教えたこととは。

                    「一個の生命を守るだけでは意味をなさない。社会全体から病気を守らればならない。それが医師の義務である。義務は、本来、報われることを期待しないものである。」

                    この当時の日本にとって「社会」とか「義務」という概念は、未知の思想であった。

                    医学も医師も市民のために存在するものであり、患者に差別があってはならないという考え方が良順の身分制の変換という実践への大きな動機づけになるのである。

                    「穢多・非人」を改めることを15代将軍慶喜に直接具申し、慶喜自身もその日の内に改めるようにお触れをだす場面などを読むと、歴史の表舞台では決して語られることのない事実が浮き彫りになって面白い。

                    この決断から実行の速さは驚嘆すべきものがある。今の愚昧な政治家は何かを学ぶべきであろう。

                    語られることの少ない、悲劇の将軍である14代家茂と死をみとった良順のやりとりには胸を打つものがある。

                    「医者はよるべなき病者の友である。」

                    ポンぺのこの言葉を実践するように、家茂の生涯の最後の短い時間を共にすごしたのは良順であった。

                    死の直前、家茂に同衾を請われる場面があるのだが、どこか滑稽でありながら生涯孤独であった家茂の悲痛さが浮き彫りになってくる。

                    また、新選組との深いかかわりも興趣をそそられた。価値観が全く違うはずの良順と近藤勇がなぜ兄弟の契りを結んだのか等。

                    心に永遠に残る本との出会いを愉しんでいる。

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                    ブログ開始から満11年・・・
                    読書 / カーソン・ライダー 
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                      JUGEMテーマ:日記・一般

                       

                      ブログを書き始めて今日で丁度満11年である。

                      11年の間には、書きたい気持ちに溢れ新聞記事などを引用しながら自分の思いを発信していた時期もあれば、人間関係の不信から1年以上のブランクを開けていた時期もあった。

                      そんなことを思い返すと感慨深いものがある。

                      2017年もあと2日で終わりであるが、今年は大きなけがや病気になることもなく、自分にしては穏やかに過ごせたよい1年であったように思う。

                      読書に関しても、年間100冊という目標を達成することができた以上に今まで未読であった我が国の国民的作家の代表格ともいえる「夏目漱石」「司馬遼太郎」という偉大な作家の著作に触れ、その面白さに十分に浸ることができたことはこの上ない喜びであった。

                      年のはじめは漱石、しめくくり遼太郎という形になった。

                      それに比して、毎年読む割合の高かったミステリーを読む機会は減ってしまった。

                      司馬遼太郎の著す歴史小説の面白さ及び奥深さに圧倒されている。

                      そして、今年の本の読み納めは「宮本武蔵」である。

                      宮本武蔵といえば吉川英治の代表作でもあり、司馬遼太郎の作品は知名度が低い。

                      しかし、やはり面白い。

                      宮本武蔵のに二天流が世に継がれなかった理由として、二天流そのものが武蔵という唯一無比の人間が扱うことにより初めて剣術として成立するということが書かれており大変興味深かった。

                      江戸期後期の天才剣豪 千葉周作の北辰一刀流の考え方とまさに対比的である。

                      剣理に合理性を求めたところは同じであるが、兵法の技術体系という点で見れば天と地の差がある。

                      つまり、武蔵は哲学的であり、剣の理を彼の精気が埋めていたというのである。

                      よって、彼の死後、自然消滅的に廃れ、なくなるのは必然でもあった。

                      万人に一人という固有の精気をもった彼は洞窟の中で座禅をしている時に死んだといわれている。

                      死に方まで唯一無比である。

                       

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